『マッドサイエンティストの手帳』662

●マッドサイエンティスト日記(2017年9月前半)


主な事件
 ・播州龍野いたりきたり
 ・連続講座「ミステリーから見える社会〜犯罪をめぐるフィクションと現実〜」(2日)
 ・創サポ講義(9日)


9月1日(金) 穴蔵
 目覚めれば9月であった。人生のスリークォーターはとっくに過ぎている。今さらセプテンバーソングを聴いてもなあ。今度雨が降ったらジョージ・シアリングを聴くことにしよう。
 涼しく、終日穴蔵。
 今年は年賀状の発行枚数が今世紀最低を更新とか。もう年末が近い。
 近未来年表の続きで、来年(2018年のシステムダイアリー)の予定表を作る。
 システムダイアリーは41年前から使い始め、9年前に2代目を買った。
 死ぬまでこの手帳の予定だが、リフィルは通販になり、入手しにくくなった。
  *
 この5年ほどは自家製。
 しかし、専用のパンチがガタガタになって、穴あけは5枚ずつくらいが限度。
 まあなんとかなるか。
 来年の予定を記入する。といっても某院での検査とか某33回忌とか、仕事には関係のないことばかり。
 2月に「Nicola Giammarinaro」というクラリネットの名手がイタリアから来る。2018年2月4日(日)午後にニューサンは確定。滝川さんとのセッションが楽しみである。
 ともかく来春までは「生きる希望」がある。

9月2日(土) 連続講座「ミステリーから見える社会〜犯罪をめぐるフィクションと現実〜」
 朝のニュース。
 9月1日午前11時頃に群馬の大泉町から「上半身裸、片手に手錠」で逃走したベトナム人、グエン・バン・ハイが36時間後の深夜、埼玉・熊谷市のコンビニ前で逮捕された。実質「出頭」だったらしい。『手錠のままの脱獄』と『36時間』をミックスしたような緊迫の逃亡劇を期待したのに、ふがいない男だ。それでも市橋達也の時を上回る160人体制の捜査網をかいくぐったのだから、たいしたもの。ただ、携帯電話を持っていて「支援者」がいた可能性もあり、市橋との比較は意味ないか。
 午前中、穴蔵。午後這い出て、地下鉄で谷四へ。
 創サポ企画の連続講座「ミステリーから見える社会〜犯罪をめぐるフィクションと現実〜」の第3回。
 今回は弁護士の明賀英樹氏と芦辺拓さんの対談形式による「ミステリ法廷 −陪審員と裁判員−」。
 本日のテーマは、裁判員制度実施後の刑事裁判の問題点が中心となる。陪審員制度との比較も。
 明賀先生は裁判員規則制定時に諮問委員を務められた弁護士で、実施後の量刑の変化など、なるほどと思う話しが多い。
 裁判員裁判の多いのは東京・千葉・大阪で、このトップ3は変わらず、理由は順に人口・麻薬(成田空港)・凶悪犯罪とか。大阪に凶悪犯が多いのは誇っていいのか……ともかく面白いことである(小説にする上で)。
 やはり一度傍聴に行くべきだな。

9月3日(日) 穴蔵
 秋晴れで涼しい日である。
 穴蔵にて資料を読んで過ごす。
 運動不足なので午後散歩……といってもジュンクドー往復だけだけど。
 近所の公園で「ヨレヨレのおっさん」がハトに餌をあげてはった。
  *
 神々しく見えてくる。
 明日はわが身……というよりも、明日からでもこうなりたいのだが、ヨレヨレがふたり並んだのではハトも戸惑うだろうし、専属料理人がやめてくれというだろうし、色々と悩むところだ。

9月4日(月) 穴蔵
 薄曇りで涼しい日である。
 終日穴蔵。半分は資料読み、半分はタイムマシン関係のことであれやこれや。
 メールでのやりとり色々。英語力の低下を痛感する。3年以上、商業英語を使ってないのだから、しょうがないか。嗚呼。
 たちまち夕刻となる。
 専属料理人に、国産枝豆、筑前煮、ピーマン肉詰など並べてもらってビール。
  *
 メインはカンテのコッペにローストビーフとサラダを挟んで、安ワインをいただく。うまっ。
 早寝するのである。
※本WEBで「カンテ」というのは、地下鉄御堂筋線・中津駅西側のパン屋「カンテグランデベーカリー」のこと。まあまあの店。同名カフェの系列店です。

9月5日(火) 大阪←→播州龍野
 早朝の電車で播州龍野へ移動する。午前9時前に着く。
 タイムマシン格納庫にて相棒の某くんと打ち合わせ色々。
 海外関係の案件、中国台湾シンガポールの話がなきにしもあらず、ただ、おれがもう海外行きは無理なので悩むこと多し。
 事業の終活も視野に入れねばならぬのである。
 昼は「よこた」で穴子寿司。ビールが飲めないのがつらい。
 実家関係の雑用もあり。
 こちらの「負の遺産」についても考えねばならぬ。嗚呼。
 午後の電車で帰阪。
 ということで、体を動かした夜はビールがうまい。
 専属料理人に、国産枝豆、翁豆腐のヤッコ、和風ハンバーグ、サラダなど並べてもらってビール。
  *
 揚げの春巻き?がオツでげす。これで安白ワインを少しばかり。
 早寝するのである。

9月6日(水) 穴蔵
 早朝に雨が降ったが、終日曇天、過ごしやすい日である。
 終日穴蔵。週末の「講義」のための資料を読んで過ごす。
 たちまち夕刻となる。
 夜は専属料理人に、国産枝豆、翁豆腐のヤッコ、筑前煮、サラダなどマンネリメニューを並べてもらってビール。
  *
 メインは鶏の唐揚げで、黒糖焼酎れんとの水割り。
 世の中にはトリカラに目がないというのがいて(たとえば天羽孔明くんね。近所の「菊華」の唐揚げは申し分なくうまかった。うちのもまあまあ)、昔はつきあえたが、もうしんどい。2個をよく咀嚼していただき、あとは酒盗をすこしばかり。
 無為とまではいえぬ、まあまあの1日であった。
 早寝するのである。

9月7日(木) 穴蔵/ニュース色々
 定刻午前4時に起きる。日の出が遅くなった。
  *
 午前5時30分、東の空にうろこ雲。「吸血鬼ゴケミドロ」の冒頭シーンを思い出す。天気は下り坂である。
 こんな日は穴蔵に閉じこもってるに限る。
 ニュース雑感
 週刊文春のカンニング事件に関して、文春の社長が新潮社に出向き謝罪したという。まあ、潔しというべきか。
 ということで、朝、コンビニへ行って週刊文春と週刊新潮を買ってくる。
 「山尾志桜里イケメン弁護士と『お泊まり禁断愛』」
 反省した文春が久々に痛快スクープ。やりますねえ。文春も山尾も「イケメン弁護士」倉持隣太郎も。「やる」の意味が違うけど。
 議員辞職必至、民進党崩壊も時間の問題であろう。
 だいたい民主党時代から、この党にたかる弁護士にろくなのがいない。管直人にはチンカス三百代言・五十嵐敬喜。日本を亡ぼしかけたものなあ。
 元神戸市議ハシケンが検察に出頭?
 これもまあ潔しと評価すべきか。しかし週刊新潮はさらにハシケンを
 「不倫市議は診療報酬も架空請求だった」と追撃している。新潮の「水に落ちた犬を打つ」姿勢はいいねえ。これで歯科医も廃業か。
 しかし……おれは30年前に阪大歯学部付属病院でハラダはん(米朝一門の多くが世話になった歯科医 。ハナシ家の歯を治すのだから、いかに名医かわかろうというもの)の治療を受けて以来、歯の治療は阪大歯学部出身と決めている。ハラダはんが実家で開業しはってからは、M木先生、リタイアしはってからはM内先生。いずれも丁寧に看てくださり、たぶん生涯「入れ歯」の必要はなさそうである。その立派な先生方の後輩にハシケンとはなあ。阪大歯学部の開校以来の恥さらし。ハラダはんなど腸が煮えくりかえる思いだろう。
 土屋嘉男氏の訃報
 89歳。2月に亡くなられていたのか。
 父に連れられて「七人の侍」を龍野劇場で見たのが10歳の時。以来、黒沢作品はじめ、多くの作品を見てきたが、おれがいちばん好きなのは「ガス人間第1号」だ。八千草薫もよかった。
 桂吉朝十三回忌
 吉朝13回忌で、この10月から11月にかけて、吉朝一門が大阪・東京・名古屋・尼崎で追善公演を行うという。そうか、12年経つのか。いい企画と思う。大阪か尼崎に行くことにしよう。
 昼前に激しい雷雨。あとは小雨が降り続く。
 たちまち夕刻。
 専属料理人に数皿並べてもらって焼酎水割り飲みつつ、阪神の試合を眺めてたら(おれはもう職業野球に興味はないのだが、専属料理人が見ている)、19:45頃に3塁ランナーを挟殺しかけてもたつき、三塁手がホームぎりぎりでタッチする場面があった。
 おれ「必死のタッチやなあ」
 専属料理人「え、危なかったけど、それほどでもないでしょ」
 大阪に来て40年近くになるのに、必死のパッチという言葉を知らないのである。知らなくてもいいか。

9月8日(金) 穴蔵
 秋晴れである。
 運動不足なので出歩くべきなのだが、面倒で、終日穴蔵。
 明日の講義資料を読み、メモ作成しつつ過ごす。
 ニュース雑感。予想どおり肩すかし。
・昨夜の山尾志桜里の「釈明会見」を見る。まあ「オ**いたしました」というはずないわなあ。議員辞職と予想したが離党。あとしばらく楽しませてくれるということか。
・10年ぶりの太陽フレアによる荷電粒子到着。何もなしと予想してたら何もなし。フレアは光速で観測できるからプラズマ到着は予測はできる。100年に1度レベルが観測されたら騒ぐべし。
 ということで、静かな1日。たちまち夕刻となる。
 夜は専属料理人に、静岡産枝豆、翁豆腐ヤッコ、きんぴら、サラダなど並べてもらってビール。
  *
 手羽焼き食いちぎりつつ黒糖焼酎水割り。
 まあまあかな。
 寝る。

9月9日(土) 創サポ講義
 快晴。秋晴れである。
 崩壊寸前の某国、建国記念日で金三胖(キタのブタ)が何かやるぞというヨタ報道が多く、落ち着かぬことである。
 昼過ぎまで何もなし。
 夕刻から天満橋のエルおおさかで創作サポートセンターの講義あり。
 運動不足なので早めに出て、歩くことにする。
 茶屋町のジュンクドー〜紀伊国屋〜地下街経由〜梅新交差点(相変わらずハト多し)〜中之島図書館。
 気になっていた新聞記事とPR誌をチェック。しかし、この図書館、カフェや売店や展示室が増えて、使いにくくなった。
 バラ園抜けて、剣先まで。
  *
 17:30「霧に沈む戦艦未来の城」の舳先から吹き出す小便を眺める。
 エルおおさかに着く。
 18時から創サポ講義。提出作品4篇を題材に行う。
・50年ぶりに故郷を訪ねる男。回想がきわめて技巧的な構成で語られ、やがて男が自分で封じていた幼少期のいまわしい事件が浮かび上がる。
・下着泥が頻発、その犯人を探そうとする高校生ふたりのラノベ風軽ミステリー。文章が抜群にうまい。
・重い恨みを持って、蝶の姿でこの世にとどまっている女性は、カナリアに姿をした何者かに「お悩み聞きマス」と書かれた茶席に導かれる。
・元プロ野球選手を父にもつ少年、上級生から野球部に誘われる。誘ったのは女子プロ野球選手をめざす女性キャプテンだった。きちんとポイントを押さえた青春スポーツ小説。
 全体にレベルが高く、それだけに用語の調査や参考作品のチェックに手間がかかるが、こちらも面白くやりがいがある。
 帰路は地下鉄。
 本日、10,121歩となった。

9月10日(日) 穴蔵
 秋晴れの日曜日。浪速衆が街に浮かれ出ているはずで、梅田方面には出歩く気がしない。湾岸区に行くか迷うが、日射しは強そうな。
 結局、終日穴蔵。
 トライボロジー関係の本を読んで過ごす。
 前に読んでるが忘れていることが多いのに愕然。ボケが進行しているのである。
 わが卒論は一応流体力学で、カテゴリーは高速度流体(気体力学)、数学的な扱いはニュートン流体である。まあ、古典物理の片隅でちょこちょこっとやってたに過ぎない。
 その後、レオロジー〜トライボロジー〜粉体工学などの解説書を読んでいったのは、仕事とは無関係なSF的興味からである。
 私見では、流体SFの代表は「ソラリス」(レオロジー)と「渇きの海」(粉体工学)と思う。
 この中間域に特異な天体を作るのが昔からの夢であり、短篇で試みたが成功していない。なんとか長篇を成立させたいと思ってきたが、体力的にも頭脳的にも、もう無理な気がしてきた。嗚呼。

9月11日(月) 穴蔵/ウロウロ
 曇天、涼しい。テレビのアホどもが湿度が高くてなんとかいっとるが、おれは快適である。
 穴蔵にて、少しは仕事もするのであった、いと少なしを。
 午後、散歩に出る。
 ヨドバシのスマホ売り場で機種変更について聞く。今のサービスが来年初めに終了するから「優待特典」で機種変更しろということらしい。
 おれはスマホのアプリはほとんど使わない。そもそもスマホは4年前に「やむを得ぬ事情」で使い始めたのである。その主目的は終わっていて、メール利用がほとんど。
 ガラケーに戻してもいいのだが、メアド変更やG-mail使用ではオプションが必要とか、煩わしいことも多い。
 ま、年内検討ということにする。
 中崎町をうろうろ。
 ウチから天五方面へ歩く場合、アミダ方式で通路を選べば、数万通りの経路ができる。まだ抜けたことのない路地がたくさんある。
  *
 ジュンクドーから徒歩2分にも、こんな場所が残っている。
 火事になると糸魚川どころじゃない場所がほとんどだけどね。
 旧タカセ市場まで行き、黒糖焼酎を買って帰館。
 6,228歩となった。

9月12日(火) 穴蔵
 雨ぞ降る。
 早朝のニュース番組の画面に、やたら大雨警報、竜巻注意報が流れる。大阪府全域らしいが、例によって北区はたいしたことなし。
 30分ほど驟雨、あとは小雨が断続的に降るだけ。
 終日穴蔵。
 ボケーーーーーッと久しぶりにタドコロ状態で過ごす。
 いかんなあ。

9月13日(水) 穴蔵/豊田真由子の新音声データ
 秋晴れである。
 穴蔵にて週刊新潮を読む。
 左柱「『豊田真由子』の言い草にヤメ秘書たちの『違うだろーっ!!!』」……新音声データ公開である。
 週刊新潮の「スクープ」が6月22日で、その日から「ハゲーーーーーッ!」の音声がテレビでも流れて大騒ぎになった。以来、夜叉・真由子は雲隠れ。入院とかいうが、精神病院か。
 で、9月10日、文藝春秋10月号に「独占告白」で登場。スクープから80日である。
 内容は(ざっと立ち読みしたが)秘書がミス連発したからで、うち何も悪いことしてへんというもの。
 人の噂も75日。時間が経てば世間は忘れるという意味だが、80日目に本人が残り火に油を注いだものだから、いやはや。
「あの女(松森)もふてぶてしいよなあ」「白痴か! 痴呆症か、お前らは!」……やはり新音声データはテレビで聞く方が迫力があるなあ。
「死ねば? 生きてる価値ないだろ」はその通り。しかし相手が違うのではないか。
 わしなら思い切って上の池にドボンと飛び込むがのう(←「雨乞い源兵衛」)。

9月14日(木) 穴蔵/ウロウロ
 爽やかな秋晴れである。
 こんな日はタドコロになってはいかん。少しは仕事もするのであった。
 昼、梅田うろうろ。
 週末に出かける予定があり、チケットの手配。
 台風18号が列島を縦断しそうである。まさにそのコースを往復の予定。
 20年近く参加してきたイベントなので、これだけは中止するわけにはいかない。
 岸和田でダンジリ見物の場所取りする諸君の気持ちがわからんではない。わしはちゃんと金払っての予約だけどね。
 路上「しばくぞ」テープ貼付諸君、ずぶ濡れでダンジリ見物したまえ。
 わしは最悪でも傘さして歩く予定。
 ということで、当方は「寄り道なし」前提で新幹線の指定をとる。
 帰路、豊崎西公園南側の中本酒店でバカウマ格安ワインを買って帰館。
 たちまち夕刻。
 専属料理人に、翁豆腐の湯豆腐、野菜炒めなど並べてもらってビール。
  *
 初秋パスタで格安ワインをいただく。うまっ。
 何が初秋か。スダチの香りが初秋を感じさせるのである。清潔で、ややこしいウジ虫などたかっていない。
 昔からよういいまっしゃろ。ウジよりスダチ。

9月15日(金) 穴蔵/Jアラート
 定刻午前4時に目覚める。涼しいのであった。冬が近く、気が重くなる。
 明日からの予定がらみで台風の進路が気になる。
 7時前の天気予報を見ていたら、7時のニュース、とつぜん「Jアラート」画面に切り替わる。初めて見た。
 キタがミサイル発射、関西は対象外。20分ほどしたら「襟裳岬の上を通過して東2000キロに落下」の報道あり、菅が毎度おなじみ「断じて容認できず、強く抗議する」で終わり。たまたまテレビ見てたけど、定時の発射でなければ、もう見ることはなさそうな。
 北にミサイル、南から台風。ややこしいことである。
 外出は、午後、ジュンクドー往復のみ。帰路、市営住宅の路地を抜ける。
 彼岸花が開花している。
  *
 野々村竜太郎の生家前にも花は咲くのであった。


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