HORI AKIRA JALINET

『マッドサイエンティストの手帳』82

●マッドサイエンティスト日記(1998年10月後半)

主な事件
 ・ボンクラ・サラリーマン生活継続中
 ・10月は胃の痛い季節である
 ・阿佐谷ジャズストリートを歩く
 ・山下洋輔 薪能的デュオ
 ・森山威男ライブに「秘密結社」員全員集合
 ・坂田明ますます過激

1998年

10月16日(金)
 台風が沖縄あたりにあり、大阪まで大雨洪水警報が出ているが、一応モーレツ・サラリーマンとして姫路方面ウロウロ、風雨はたいしたことないぜ。
 夜、国立国会図書館の某ゝ木瞭さんからメール、「森山威男研究会」としてどうしても判明しなかったデータを送ってくれる。これでディスコグラフィーがまとまる。月末予定の秘密結社総会に向けて元気が出てくる。


10月17日(土)
 熱血社員のごとく、世間は休日にもかかわらず会社へ。午後、眼科の検診、30分かけて瞳孔を開いて2分間の診察、1月分の薬、これもう5月の繰り返し……定期収入のプログラムに組み入れられてしまったのだろうか。医者の発言がマンネリなのが気になる。
 心斎橋の中古レコード店で北村英治のLP3枚とピーナッツ・ハッコー、アーティ・ショウのCDを2枚。北村英治の菅野邦彦との競演盤に気になる解説、トニー・スコットに関する記述で、これはちょっと調べてみたい。日本のファンキー・ブームの「火付け役」は誰なのかという40年前の犯人探しである。

10月18日(日)
 夜中、台風が岡山を抜ける影響で突風が断続的に吹く。午前2時頃に静かになるが、そのまま起床してしまう。が、机には向かうものの生産的なこと何もできず。
 昼前、とつぜん「一天にわかにかき曇る」という常套句そのままの雲行き。すごい暗雲が空を覆う。まったく青空に暗幕を引いていくように、空が南北に二分されているのである。あわててデジカメ撮影。南の青空の色がうまく出ていない。雨は降らず。

     off

 午後、ごろ寝して、高橋源一郎「文学なんかこわくない」を読む。「失楽園」に関する論考が抜群の冴え。もっとも、わしゃ「原典」はしょせん「一般論の男」((C)北上次郎)が出てくるエロ小説であろうと、手に取る気もしないのだが、ポルノと断じるにも手続きが周到なんですなあ。

10月19日(月)
私生活で生産的なことをしなかった週明けはろくなことがない。
 いかにボンクラ・サラリーマンとはいえ、胃に孔が開きかけることもあり。嗚呼……

10月20日(火)
 胃の孔をさらに無理矢理拡げられるなりのことあるよ。
 急に寒くなる。

10月21日(水)
 週刊誌の新聞広告に「倒産危険度ランキング・実名200社」特集……朝から心臓に悪いなあ。

10月22日(木)
 週刊文春が三田誠広を「お調子者」特集に分類しているのが面白い。芥川賞作家に同じ文春がこんな扱いでいいのかねえ。

10月23日(金)
 早朝のひかりで上京、虎ノ門あたりウロウロ、特許庁から霞ヶ関に向かう途中、新聞ですっかりおなじみになった「長銀」のビルを見る。なるほど不安定な印象で、風水師が指摘するまでもなく、「出っ張り」の上は気味悪くて居心地が悪いだろうし、下の「温室」みたいなところは巨大プレス機の下にいる気分だろうな。
 午後、八王子へ。帰路、たまたま中央線の阿佐ヶ谷で降りると、なんと 阿佐谷ジャズストリート の開催日である。
 なんと、たまたま予約していた阿佐ヶ谷のホテル(ホント、ここは同じ業界の某社経営)のレストランも会場になっている。なんという僥倖であろうか。
 夜遅くまで阿佐ヶ谷の町をウロウロ。

10月24日(土)
 三鷹市の会社の某氏、たまたま土曜に出てくれていて……しらじらしいなあ、ホント無理いってすみません……午前中打ち合わせ。午後のひかりで帰阪。
 最近、ひかりの3時間はすごく肩が凝るようになった。
 「女中」に按摩させる。

10月25日(日)
 居住している集合住宅の共用部分「一斉清掃」の日であり、理事という立場上、率先垂範はまあいたしかたなし。
 快晴で、終了後、みんなでささやかなガーデン・パーティ。……当初はバーベキューの計画であったのが、和歌山の砒素カレー事件があって、全員一致で缶ビールと「乾きもの」だけになってしまった。これは全国的現象であろう。

 off off

 同じ住人でいっしょに理事を務めたこともあるピエール・サバリさんがホームページを開設していることが判明、リンクを張らせてもらうことになった。写真で「ビール」を飲んでいるのが玲央くんである。そっくりであるなあ。

10月26日(月)
 楽しかった終末のつぎの月曜は胃に孔が開きかけるというのが定例化しつつあるようで恐ろしい。

10月27日(火)
 値下げ要求が来ているところにクレーム発生というパターンは、怪談「市川堤」の有名なフレーズに似ている。ツキというのは落ちるときにはいっせいに落ちる。「弱り目にたたり目泣き面に蜂、貧すりゃ貪する藁打ちゃ手を打つ、便所へ行ったら人が入っとる……」

10月28日(水)
 ツキはさらに落ちカラスカーと鳴きて霜天に満つのことなり。
 悪いことは重なる。
 夕食時に突如「断水」……理事という立場上ウロウロ。どうやら修繕工事の業者が揚水ポンプの電源を切ったままであったらしい。便所に入っていなくてよかった。

10月29日(木)
 相も変わらぬボンクラ・サラリーマン生活。

10月30日(金)
 早朝のひかりで東海道ウロウロ上京、都内ドタバタ、お茶の水「DISK UNION」でトニー・スコット、ジミー・ジェフリーなどクラリネットCD数枚を求めて、石井紀男さんの事務所にちょっと寄る。あと1時間ほどしたら色々面白いメンバーがくるらしいが、新宿ピットインで森山威男2daysが新宿ピットインで控えているので、そそくさと失礼する。
 夜中まで充実した時間を過ごす……のことなり。

10月31日(土)
 あわただしくも都内ドタバタののち、帰阪。
 少し休んでから、我が家のおなじみ「ボンクラ息子の母親・兼・女中」略して「お女中」真意は「ご婦人」……なるものといっしょにインタープレイ8(ハチ)へ。
久しぶりの坂田明トリオのライブである。
 夜中帰宅。
 「大漁節」とともに10月は終わる。


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