HORI AKIRA JALINET

『マッドサイエンティストの手帳』30

●マッドサイエンティスト日記(1997年7月後半)

主な事件
 ・「宇宙法廷ノート」連載開始
 ・マッドサイエンティスト、大阪新聞に登場

1997年

7月16日(水)
 上京。数社をうろうろした後、アトソンに寄る。自宅のパソコン、修理中のため、ホームページの更新をこちらで行う。「太陽風交点事件」記録と「宇宙法廷ノート」の連載開始である。作品リストも「私家版SF年代記」に模様替えする。個人的な年代記の色彩を強めて、「事件記録」の背景データとするためである。
 夕方、徳間書店・石井局長と新橋で会う。「太陽風交点事件」の連載開始を話す。ともに当時の「戦友」であり、事件の細部を思い出してビールが進む。当時の皆さんの消息を聞く。それぞれに活躍されているようだ。ヒモに成り下がったのは今岡清ひとりか。焼鳥屋からカウンターバーへ。23時まで。

7月17日(木)
 東陽町の特許情報機構へ。特許情報のデータベース化の進展について聞く。インターネットでの検索は来春になりそう。有料という(まあそうだろうな)のにがっかり。
 東京18:36のひかりで帰宅。車中「梶山季之」読む。もと助手の手記、暴露的ではなく、美談。編年体でないのが、悪くはないがインパクトが弱い。……それにしても、この時代、小説には活気があったなあ。ぼくは梶山作品では「ミスター・エロチスト」が最高傑作と思う。これは81年頃に「別冊問題小説」で再読して確認した。「エロ」の面ばかりが話題にされるが、それほどのものとは思わない。むしろ、わかる人にはわかるはずだが、合繊業界では有名な「産業スパイ事件」が軸にある。このサスペンスの方が凄いのである。

7月18(金) 斎藤貴男「カルト資本主義」を読む。梶原一騎の評伝「夕焼けを見ていた男」から、今度はずいぶんかわった分野を。その領域の広さに感心する。神秘主義が企業の管理する側される側まで侵食しつつある状況の分析である。労作という他ないが、採算はとれないのだろうなあ。売れるのは「脳内革命」……つくづく日本は愚民で溢れかえっているなあと思う。

7月19日(土)
 夕方、サンケイホールへ。第52回米朝独演会。例によって2階席でかんべむさしと並んで。団朝「強情灸」米朝「酒の粕」米八「曲独楽」米朝「たちぎれ線香」「阿弥陀池」……「たちぎれ」はやっぱり好きになれない。野暮を承知でいうと、面白いのはバカ息子が倉に放り込まれるまで。後半、悲恋の構造になっていないのである。ふたりを隔てる障害が、世界の違いとか体制の壁という構造的なものでなく、たんに金遣いが荒いドラ息子が外出禁止になっただけ。時代を超えて胸を打つものがないのである。……やっぱり「地獄八景」の方がいいなあ。

7月21日(月)
 振替休日。にもかかわらず自転車で会社へ。3時間ほど雑用。かんべ事務所により雑談2時間。清涼院流水「コズミック」を預かる。読んでレクチャーしてくれという。まあ、やってみましょ。

7月23日(水)
 久しぶりに、「スイングジャーナル」を買う。50周年記念号。古い表紙のグラビアが懐かしいが、記事の採録が少ないのが寂しい。特に「ファンキーブーム」については、小林信彦「現代死語ノート」に、トニー・スコット火付け役説が紹介してあり、この部分はひっかかっているのである。

7月26日(土)
 「コズミック」読むが、ぼくは買わない。前半のオオボラがマンガでしかなくなってしまっている。トリック以前に、探偵の設定が破綻。ハチャハチャを目指したのではないはず。コーシンの「Zの悲劇」「僧正殺人事件」の方が遥かに知的である。
 給料日直後の土曜となれば、梅田にはボンクラサラリーマンどもが浮かれ出るのが相場なのに、台風9号接近で閑散としている。これで台風が大阪直撃となればね今年の台風に3連続狙い撃ちされるという、珍しい記録になる。
 夕方、関西出張の村井康司氏を囲んで、亀山鯖男さんとつるみちゃんという、句会メンバーでビール。サントリー5が臨時休業してしまったのが残念。
 台風は広島から島根に抜け、大阪は雨も降らず。

7月27日(日)
 終日、裁判資料の整理と読み直し。
 夕方、旭屋へ。真殿剛、児島康子さんとばったり。1時間ほど地下のスタンドでビール飲む。真殿タートル氏、新職場は出張が多いが時間的余裕はできたとか。ただ、昼休みのランチ会議ができなくなったのは寂しい。

7月28日(月)
 朝10時前に大阪新聞・竹室記者から電話。「ストレス解消法について」今日取材させてほしいという。マッドサイエンティストの扮装を披露することにする。なぜこれが「ストレス解消」になるかは、7月29日の大阪新聞の記事をご覧下さい。(次のページに紹介いたします)

7月31日(木)  やっとハードディスク交換返送されてきたパソコン(FMV5DSE51)の再インストールを試みるが、うまくいかない。自転車で堂島の大阪古河ビル1階のサービスカウンターまで行って、メンテナンスディスクがおかしいのではないかと質問するが、サーフィン焼けらしきお姉ちゃん、最初からこちらを犯人……じゃない、パソコン音痴のおっさん扱い。なんとかお願いして、午後、サポートセンターからの電話を貰うことになった。で、電話を受けつつ指定通りに操作。結果は「直っていませんから、再度、同じルートで返送して下さい」。見ろ、濡れ衣ではないか。再度荷造り、家内と300メートル先の宅配便集配所まで運ぶ。ちょっど粗大ゴミの日で、このまま廃棄して東芝のノートを買おうかと迷ったりする。……まだ1年ちょっとだから、買い換えの理由はないのだが。トンチンカンな質問が多いとは聞くが、メーカーがメンテナンス・サービスの連絡をとりにくくしているのは、買い換え促進策なのではないかと思ってしまう。
 もう1月以上、直接ホームページを触っていない。
 悪徳弁護士デガラシの怨念が「連載」を妨害しているのであろうか。


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