『マッドサイエンティストの手帳』389
●マッドサイエンティスト日記(2006年12月前半)
主な事件
・穴蔵の日々(〜3日)
・播州龍野の日常(4日〜)
・穴蔵の日々(7日〜)
・播州龍野の日常(11日〜)
・ジャズマン忠臣蔵(14日)
12月1日(金) 穴蔵
終日穴蔵……といきたいところなれど、月次の処理事項その他色々あって昼間3時間ほど市内ウロウロ。
あとは室温20℃の穴蔵にこもる。
事務処理関係のこと終わると、アタマ働かず。
溜まっている新聞や郵便物など読んでいたらたちまち日が暮れる。
専属料理人に色々並べてもらって、ビール、湯割り。
テレビで『三丁目の夕日』をしばらく見るが、だいたいのところわかった気分になって(60年代の再現はよくできていると思う)、最後までは時間的に無理、もう寝るのである。
12月2日(土) 穴蔵/北村英治コンサート
終日穴蔵。
少しは仕事もするのであった。
夕刻、専属料理人と千里中央へ。
大阪エイジクラブ主催の北村英治さんのコンサートである。
第1部が谷口英治、滝川雅弘との3クラ・セッション。
第2部がスコット・ハミルトンを迎えてのセッション。
なかなか豪華メンバーである。
曲はグッドマン・ナンバーから始まってスタンダード中心。
スコット・ハミルトンは生で初めて聴くが、なるほど素晴らしい音色である。今はロンドン在住らしい。
最後は全員揃って「メモリーズ・オブ・ユー〜シング・シング・シング」
北村英治、谷口英治、滝川雅弘(cl)、スコット・ハミルトン(ts)、竹下清志(p)、小笹了水(b)、石川潤二(ds)
まっすぐ中津まで帰る。
夕食はシンプルな料理しか用意してないというので、穴蔵から徒歩2分の立ち呑み屋「はなび」に寄ってちょっと一杯。……専属料理人は店まで来て「コートに臭いが染みこみそう」だからと逃げ帰ってしまった。いい店なんだがなあ。500円のトンテキは一人では重いのでまだ食べてない。
刺身、豆腐でビールを飲み、帰館してからハヤシライスでワインを一杯。
12月3日(日) 穴蔵
終日穴蔵。
朝6時から12時間机に向かう。
あまり能率はあがらず。
ただ、明日からキンタマ収縮の龍野行きなので、本日中に片づけておきたい。
夕食時もビールは控えて、どうにか終わる。
これから一杯飲んで早寝するのである。
毎日こんな生活をするべきなんだろうなあ……。
12月4日(月) 大阪→播州龍野
早朝の電車で播州龍野へ移動。
午前9時、こちらの書斎の室温は9℃で、大阪の穴蔵とは11℃の差。机下にハロゲンヒーターを置く。
この体勢で厚着してじっとしている限りはいいのだが、来訪者があるとたちまち保温状態が破られる。困ったものだ。
門扉を閉じて冬眠に入りたい気分である。
これから4ヶ月は、体を最小限にしか動かさんからね。
12月5日(火) 播州龍野の日常/たつの図書館騒音
予報では朝は0℃というので警戒していたが、朝5時の室温は8℃。ハロゲンヒーターでキンタマを暖めればなんとかなる温度であった。
ちなみに朝6時の外気は2℃である。
下男仕事色々。
午後、「たつの市立図書館」へ行く。文芸誌や総合雑誌はここで読むことにしている。新刊類も大阪に比べて美本が多いのがありがたい。しかも暖房完備。
空いているのはいいのだが、14時頃から、閲覧室でオバハンふたり、グチャグチヤグチャグチャと世間話を始めた。30分ほどつづく。頭痛がしてきて、堪らず席を立つ。「困ったものですねえ」と館員に伝えたが「何ですか?」という表情。こんな場合、注意してくれないのだろうか。オバハン、ふたりとも本は手にしていない。「暖房のきいた談話室」としてしか使ってないのである。困ったものだ。本を読まない人しか来ないのかねえ。
おれは「たつの市民」ではないからどうこういう権利はないけど(ただし老母はそこそこの税金を払っている/おれは下男の立場で時々書籍を借りに行くのである)、図書館なら下男にも静かに本を読ませてくれるべきではないかい。
「たつの市立図書館」12月5日午後2時前後の30分間ほどの出来事である。
帰館して書斎でキンタマ暖めつつ古い雑誌を読む。斉藤哲夫「回帰」(旧「宝石」)が出てきた。傑作である。
夜。
テレビ「伊藤家の食卓」の番組表に「大爆笑昭和のお笑い史特集」とあるので見る。が、クイズ形式の色々、いくらなんでも横山ホットブラザースを映して「このグループ名は?」なんて失礼ではないか。「おまえはアホか」といわせるための伏線かと思ったのだが、そうでもなかった。……ただし、大空テントの「蜘蛛の決闘」をスタジオで見せたのは立派。おれは前に一度見ている。80年頃?「夜の大作戦」だったか、そんな関西のお笑い番組でだったと思う。テントはん、変わってないなあ。
久しぶりに入浴。
老母が「歌謡コンサート」を見ているので、おれも湯上がりで「神の河」の湯割りを飲みながらつきあってたら、秋葉なんとか?という演歌歌手、Wヤング・平川幸男の息子というのにびっくり。あまりうまくないけど。軍司兄さんのことなど思い出すなあ。
そろそろ寝ようと思ったら、外が異様に明るい。
満月が皓々である。写真を撮ろうかと迷うが、寒い。
荷風のおっさんなら「月皓々たり」とか書くところ(半藤説では、荷風が月光なんとかと書く日は機嫌がいい時らしい、だいたいアチラ方面でいい思いをしたわけ)だが、おれは昼間イライラしたから、月見はせず、ふて寝である。
12月6日(水) 播州龍野の日常/室津港
朝は寒いが、昼前には暖かくなった。
気晴らしで、思い立って室津へ行ってみる。
子供の頃は、室津から魚屋のおっさんが自転車でよく来たものであった。
25分ほどで行ける。
室津漁港、しんとして人影なし。活気があるのは早朝だけか。
古い町並みの路地を歩いてみる。寂れた町であるなあ。
昔、近所の某おっさん、自転車で相生に通い、時々室津で女郎買いして帰ってきたと上機嫌であった(半世紀前の話)が、その雰囲気はない。
しかし、おっさん、よくこんなところまで自転車で……。
海岸沿いの鮮魚直販兼レストランで、穴子の唐揚げと蟹の味噌汁で昼飯。うーん、たいしたことない。システムがスキー場の食堂クラス。九十九浜の海の家とか清水の寿司屋などを見に行って勉強してはどうか。
焼き穴子を買って帰館。
12月7日(木) 播州龍野→大阪
曇天から小雨に転ず。
出所の日である。
昼間、荷物を持ち、傘差して龍野刑務所を出る。
出所祝いに姫路駅で駅そば。
大阪の穴蔵に戻る。
夜は出所祝いで専属料理人にイタ系色々作ってもらってワイン。
もう寝るのである。
来週またキンタマ収縮の龍野に出戻りだけど。
12月8日(金)穴蔵/ワーワーおじさん似
終日穴蔵……といきたいところなれど、銀行その他の雑事あり、昼間、1時間半ほど外出。
「ジャズの専門店ミムラ」に寄ったら、珍しい2クラのCDがあった。
寒いのでまっすぐ帰館、午後は暖房入れてCD流しながら雑事の片づけ。
夜は専属料理人に和風色々並べてもらってビール。あとは「カツオの生節」的なる逸品を削って、これをつまみつつ湯割り。
夜になって、やっと宮崎県の安藤忠恕くん逮捕のニュース。
11月20日に「天の声」を聞いてから3週間近い。逮捕秒読みの雰囲気でずいぶん引っ張ったものだ。
おれはあくまでもレムの『天の声』を思い出しただけであったのだが……まあ、世の中「顔を見ただけでわかる」ってことはあるわなあ。安藤忠恕くん、まあよくペラペラしゃべることよ。出納長や土木部長が逮捕されても「何をしゃべってるのかわからんから、コメントできない」と薄ら笑いしつつの会見。語るに落ちるの典型である。
「顔」についていえば……この忠恕くん、クールファイブの「ワーワーおじさん」のひとりに似ているという意見があろう(おれはそう思う)が、この方は元大阪府知事の岸某の方がよく似ていた。クールファイブも岸もともに愛嬌があって、宮崎のほど卑しい表情ではなかったぞ。似て非なる……じゃなかった、似て卑なる、か。
しかしなあ……世の中、一字違いで大違いである。安藤忠雄さんは迷惑なことであろう。
12月9日(土) 穴蔵
曇天で肌寒く、午後は小雨となる。
出かけたい用事があるものの動くのが面倒になり、終日穴蔵。
夕刻18時から集合住宅の修繕委員会。これがあるから帰阪したようなもの。
21時半までかかる。
しかし、まあ方向だけは決まったというところか。結局1年がかりになるなあ。
体が冷えてしまい、珍しく入浴。
夕食は午後10時過ぎになった。
こんな日に限ってすき焼き。ふだんの就眠時刻にビール飲みながらのドカ食いだから、もたれて眠れない。
12月10日(日) 穴蔵
本日も曇天なり。
出かけるのが面倒になり、本日も終日穴蔵。
橋元淳一郎『時間はどこで生まれるか』(集英社新書)……時間論(時空論)に関して久々の快著である。
感想は改めて書くことにして、ちょっとしたアイデアを思いついた。短篇にはなりそうだが、どうなるか。
夜、「ラスト・サムライ」放映しているが、起きてられそうにない。
22時〜NHK-FM「セッション2006」に「野獣王国」登場。
難波弘之作曲の「まほろば99」聴きつつワイン、そろそろ就眠である。
明日から酷寒の「たつの刑務所」収監。嗚呼……
12月11日(月) 大阪→播州龍野
午前6時に穴蔵を出る。
梅田へ向かう途中、阪急本社前にパトカーが2台。赤ライト点滅させている。
事故車あり。車道境界の支柱ねじ曲がり、歩道にガラス片散乱、事故間もない様子。派手にやってくれるぜ。
下手人は病院行きか?
見物の時間もないので、そのまま播州龍野へ移動。
キンタマ収縮の寒さが待ち受けているのであった。
雑事色々。
夜……というか、19:30からNHKで県知事逮捕の特集をやっている。
宮崎の安藤くん、やっぱりクールファイブのワーワーおじさんに似ているとおれがいうと、老母、風船おじさんはどうなったのかといいだす。
うーん、行方不明のままだなあ。15年は経っている……はずだよなあ。
ということで「3大なんとか」という話になる。
3大おじさんは「ワーワーおじさん」「風船おじさん」「なんちゃっておじさん」
ついでに、3大決闘が「荒野の決闘」「ウルトラマンとメトロン星人の決闘」「蜘蛛の決闘」……これは老母の賛同は得られず、というより意味わからんという。
老母の記憶では決闘場面で覚えているのは「シェーン」だけという。
などとビール飲んでいたら、老母が風呂から出て、寝てしまった。
ということで、おれも早寝である。
12月12日(火) 播州龍野の日常/冬柿/習字
小雨そぼ降るのであった。
タイムマシン格納庫でクルマにマシン搭載、相棒の某くんが陸送に出発。
本年度のマシン関係、大きな仕事はこれで終了である。
年末まで、色々遊ぶことにして「ジャズメン忠臣蔵」のチケット手配、「歌々志で最後の独演会」「青空書房〜ソバ屋で一杯」「ラスカルズ聴き納め」「森山威男レコーディング・ライブ」「忘年検討会」「石橋でふぐ」などの予定を手帳に書き込んでいくのであった。
10日ばかり大阪〜東京ウロウロ予定である。
喧嘩を見るのは面白い。
テレビで岐阜の女相撲……聖子錦とゆかり灘の大相撲中継、どちらもフンドシだと面白いけど、ゆかりは柿色のジャンパーを着ている。
これは岐阜の冬柿をイメージしたもので、自分でデザインしたのだとか。
冬柿はこれからカラスにつつかれ、しなびて落ちていくのである。
写真は小学校同級生が僧侶のS寺近くにて。
ま、女子プロふたり、来年の参院選まで泥仕合(まさに泥んこプロレス)を楽しませてほしいものだ。
晩酌。
ビール飲みつつテレビニュース見ていたら、恒例「今年の漢字」が「命」だと清水寺の森清範はんが大書しはる場面が放映される。
で、「命」の最後の画をビンと左へはねてはるのだが、老母曰く「あれ、ハネるのおかしいんちゃう?」
習字には自信ないが……ただ3,4年前だったと思う、「帰」が選ばれた年、最後の画をやっぱりハネはって、これはおかしいのではないかと思ったのを思い出した。
小学校では習字があって、「木」はハネてはいかんとか、うるさく指導されたけど、「命」がどうだったか自信がない。まさか清水寺が間違ってはるとは思わんけど、ちょっとひっかかる。
書道家諸氏の意見はどうなのであろうか。
12月13日(水) 播州龍野の日常
小雨がふりづづくのであった。
昼間、タイムマシン格納庫の大掃除。
仕事納めの雰囲気だが、まだ雑事は色々あり、肉体労働のみ本日で終了なり。
小雨にもかかわらず、午後、ウチの近所の電柱工事が始まり、騒音多大なり。
ま、わが家の裏庭上空をかすめている電線が迂回されるのだから我慢するしかないが。
工事しているのは関電の子会社。
と、夕刻に近い時間、電話あり。
「三菱電機ナントカカントカの××と申します」
おれ「はい」
××「関電との電力契約について変更のお手伝いをさせていただいておりますが、え、ご主人様ですか」
おれ「ちがいます」
××「ご主人様はいらっしゃいますか」
おれ「それに該当する人間はおりません」
××「ええっと、ご子息様でいらっしゃいますか」
おれ「ま、そうですが」
××「電力のご契約についての変更でございますが、今、月々電気代はいかほどでございましょうか」
おれ「わかりません」
××「電気関係の管理をされてるのはどなたでしょうか」
おれ「電話でこちらの家庭の事情をいちいちお話する必要はないと思いますが……いったいどういうご用件なんですか」
××「さきぼど申し上げた通りですが」
おれ「契約の変更って、関電が何かいってるんですか」
××「ですからそのことでご説明を」
ここでおれは電話を切ったが……たぶん電力料金を安くするシステムのセールスと思うのだが……関西電力はこんなセールスを許諾か黙認しているのか?
明らかに関電の委託を受けて「契約変更」を通達しているという風なセールストークだぜ。
「消防署の方から来ました」という消化器セールスに似ている。
三菱電機ナントカがどんな組織かしらんが、そういう社名で詐欺まがいのセールス電話があると報告しておく。
まだ三菱電機不買ではないけどね、ひょっとしたら三菱も被害者かもしれんから。
電話帳から老母の名は消したはずだが、ややこしい電話が時々あるなあ。
ついでがら、タウンミーティングでのやらせ質問に関して、テレビのワイドショーなどの追及が急で、それは結構なことだが、エレベーターのボタン押しや廊下の案内だけでべらぼうな金をとった詐欺まがいの悪徳広告代理店への追及がないのはなぜなんだ? 電通と朝日広告社の名前がまったく出てこないのが不思議だ。
夜は、湯豆腐、マグロとイカの刺身、筑前煮、漬物など並べてビール、「龍力」熱燗。老母の就眠後、煮麺。
明日は「出所」、もう寝るのである。
12月14日(木) 播州龍野→大阪/『ジャズマン忠臣蔵』
曇天から小雨となる。
午後の電車で播州龍野から西宮へ移動。
夕刻、西宮北口の兵庫県立芸術文化センターへ。
初めて来るが、立派なホールである。
青白いイルミネーションが「討ち入り」にふさわしい雰囲気。
山下洋輔さんの『ジャズマン忠臣蔵』……これは2005年1月16日に東京のオペラシティで公演された伝説的組曲の、まったく同じメンバーによる再演。
今回は筒井康隆さんが司会進行役(とクラリネット!)で参加である。
前回の公演は行けず、ネットでその評判のみ知っていたのだが……忠臣蔵の解釈にこんな方法があったとは!
歌舞伎の名場面が様々な趣向で演奏されるのだが、それぞれの仕掛けを書き出したら際限がなくなってしまう。驚きの連続であった。
会場、SF関係やジャズ関係の知人友人多数。
終演後、40年来のハチの古株など揃って、ちょっとご挨拶にうかがう。
あと、近所の居酒屋へ。
ところで……クライマックスの「討ち入り」、清水一角(堀越彰)のチャンバラが凄まじいもので、とりわけ「真紅の衣」が揺れ動く姿が印象的だった。この真紅の衣装、本日午後にハチママが探し出して届けたものという(赤穂では白だったとか)……さあその自慢すること、ビール飲みながら1時間ほど聞かされることになったのだが、まあこれは自慢する資格ありだな。
12月15日(金) 穴蔵/市内ウロウロ
わ、目覚めれば午前8時である。
深夜過ぎに寝て、7時間以上の熟睡、こんなに遅い時刻に起床するのは何年ぶりであろうか。
昨夜の満足感に加えて、暖かいのと薄着と布団が軽いのと起床の必要がないのと朝飯も食べないならそれでいいのと、その他色々な要素が働いた結果であろう。
午前8時半に朝食。
おれとしては信じがたい朝寝坊である。
雑事色々。
昼前に自転車で市内ウロウロするに、銀行のATM、どことも長い列。
ヨドバシへ入ったら異様な人出。7階にユニクロがオープン、初日であるらしい。
この状態だと、明日明後日(土日)の人出は恐ろしいことになりそうな。
ということで、銀行関係は15時ギリギリとして、ハチに寄る。
と、なんとハチママ、ランチタイムの片づけの最中。元気だなあ。昨夜の就眠、おれより遅かったのではないか。
ハチからの帰路、ミムラに寄り、新情報を得て天六へ。
「ワイルドバンチ」(06-4800-4900/店名の通り、あの凄まじき西部劇に由来/映画とジャズとSFの本が大量に棚に並べてある不思議なカフェである)という店で12/21「林栄一BAND」のチケットを購入して帰館。
久しぶりに小山彰太さんのドラムを聴く予定である。
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