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『マッドサイエンティストの手帳』348

●マッドサイエンティスト日記(2005年8月後半)


主な事件
 ・播州龍野の日常(〜17日)
 ・穴蔵の日々(19日〜)
 ・高松でうどん、日生で刺身(27日)
 ・播州龍野の日常(29日〜)



8月16日(火) 播州龍野の日常
 老母、ダウン気味である。
 夏に弱い体質のところに、一昨日夜の停電騒動の後遺症であろう。
 朝の室温は27℃で、涼しいというか、おれには下着のままでは寒いほどなのだが。
 「朝ミラ」……昨日は移動時間と重なっていて聞けなかった。ラジオをつけてみると、かんべさん、今週は夏休みであった。
 藤崎慎吾『ハイドゥナン』を読み始める。
 これはとても一気読みできる(すべき)本ではない。上巻半分ほど……のあたりで宮城県の方で大地震のニュース。
 『日本沈没』の頃、地震や海底火山の噴火が多発したのを思い出す。
 東京方面はどうなのか……ボンクラ息子その1に連絡してみると、今朝大阪に帰ってきたばかりという。
 老母、昼間ほとんど寝ていたせいか、夕食後、遅くまでテレビを見ている。
 いつもの就眠時刻を過ぎても、2階の書斎までテレビ音が聞こえてくるので、居間に行ってみると、NHKで懐メロ番組をやっているのであった。
 「戦争を知らない子供たち」……一瞬、坂上二郎が歌っているのかと思ったら、なんと杉田二郎であった。
 あ、それでジローズか。
 『さよならジュピター』で「地球の四季」を歌っていた時のご本人を知っているだけに、ちょっとびっくり。
 「髪の毛が長いと許されないなら」、許すも許さないも……お互い様だけどねえ。嗚呼。
 ということで、早寝早起きはわが体質だが、老母より先に就眠というのは珍しいことである。

8月17日(水) 播州龍野の日常
 処暑にはまだ1週間ほどあるはずだが、明け方の空、もう秋を感じさせる。
 
 おれには快適な気温だが、老母は相変わらず夏バテでぐったりしておる。
 「暑いなあ」といわれれば、「いや快適です」ともいえず。
 困ったものだ。
 老母の米寿記念に、3冊目の歌集の編集を少しずつ進めているが、こんなのが出てきた。
 庭石にこころあるべし炎日に灼けたる日昏れ水しとど打つ
 暑くて庭石にまで同情しているのである。
 政局混沌。
 綿ちゃん亀ちゃんらが「国民新党」結成の会見……イメージ選挙に傾くのは問題だが、なんとも欲どしい顔つきの政治家が並んだもの。どう見ても勝ち目なし。昔の「新自由クラブ」みたいな演出しようにも、この顔ぶれでははなから無理だったのだろうな。

8月18日(木) 播州龍野→大阪
 播州龍野。
 買い物などで毎日通る道ばたにダンボール箱1個。
 子猫が3匹捨てられていた時の空き箱である。
 ちょうど1週間前までいた「最後の」シロ、姿を見ることがなくなった。
 餌を運んでいた小学生も見かけない。
 飼い猫になったとも思えないしなあ……。
 午後の電車で帰阪。
 夜は久しぶりに洋風メニューでシャブリ。
 調理はともかく、酔っぱらってからの皿洗いなしというのは、やっぱり快適である。
 政局混沌。
 広島6区、北野勇作さんに出馬要請はきてないのだろうか。

8月19日(金) 穴蔵
 穴蔵で覚醒。
 終日穴蔵、溜まっている雑件処理……のつもりであったが、午後、自転車で梅田へ。銀行、本屋、CDショップ。
 ついでにハチ。明利マスターとジャズ・クラ情報交換。
 穴蔵に戻る。
 夕刻、かんべむさし氏、来穴蔵。
 むさしくん、今週夏休みであったが、金曜日となると、もうふだんの週末と同じ気分らしい。
 つまり、月曜「朝ミラ」に備えて、深酒厳禁、軽くビールである。
 わしゃ、トコトンつき合ってもいいのだけどね。
 2時間ほどバカ話。
 政局混沌。
 広島6区。ホリエモンが無所属で立候補。
 よくわからん話だ。
 ホリエ……というかライブドア、亀の「警察情報」が怖くないのかねえ。
 どうでもいいことだが……亀井はじめほとんどの政治家が「刺客」を「シキャク」と発音している。
 一部アナウンサーも。テレビはあまり見ないから全局チェックはしてないけど。
 「刺客」はふつう「シカク」ではないのかい? 厳密にはシカクも「セキカク」の慣用読みと理解してたのだけど。
 いや、むろん、シキャクというのが慣用句で通用していることは知っている。
 「客」をカクよりキャクと呼ぶ方がイージー、テレビもそんな方向に流れているのかもね。
 こんなことが気になりだしたのは「闘牙」という取的の呼称がきっかけ。
 おれは新聞で見て、てっきり「トウガ」と思っていた。
 ある日、テレビで「トウキ」と聞いて愕然。
 いくら何でもこりゃないぜ。
 キバを縮めてキと発音するのか?
 そのうち「歯牙にかけない」が「ハキにかけない」と発音される時代が来るのだろうか。
 いずれにせよ、シキャクには投票したくない。
 わが選挙区は関係なさそうだけど。

8月20日(土) 穴蔵
 終日穴蔵。
 午後2時から深夜まで、NHK-FMで「東京JAZZ」の生中継……雑用やりながらBGMとしてずっと流しておく。
 9時間近い生中継というのはすごいね。
 しかし、好みの演奏は少ない。
 ハービー・ヒンコックのヘッドハンターズ登場は「自宅」でビールが回ってきた午後8時半……もう眠くなってきた頃である。
 最後までは聴けなかった。

8月21日(日) 穴蔵
 先日来、盆休を世間より少し後にずらしてとったボンクラ息子その1が帰省しているらしいのだが、まったく顔を見ない。
 聞けば3泊4日、友だちのところへ遊びに行ったままという。
 明日から仕事のはずなのにと思っていたら、朝、穴蔵に出現した。
 用意していたノートパソコンを渡す。おれが上京した時に使うためでもある。
 ボンクラ息子その1、受け取るや、そのままさっさと東京へ帰ってしまった。
 ま、これで大阪の「穴蔵」(デスクトップ)、龍野の「書斎」(デスクトップ/MS-DOS機も)と「タイムマシン格納庫」(ノート)、東京の「隠れ家」(ノート)の4箇所で仕事ができる環境が整ったことになる。
 当分この4箇所を不定期周回することにしよう。
 あちこちに囲ってあるのが女性でなくパソコンであるところが、昔の旦那衆とちがって侘びしいところだ。
 などといいつつ、終日穴蔵。
 あまり仕事はしないのであった。

8月22日(月) 穴蔵/トニー・スコット
 終日穴蔵。
 「自宅」との往復まで面倒になってきた。明らかに運動不足である。
 少しは歩いた方がいいので、午後、ハガキを投函にポストまで。
 『ラテン・デ・ニッポン』……「パラキンのスクスク」とかアントニオ古賀の「クスリ・ルンバ」とか、ドドンパまで、ラテン風の珍曲集(ただし音楽的レベルは比較的高い)……を聴いていたら、「ソバ マンボ」の冒頭のチャルメラ・クラリネットのノリがいい。で、ライナーを見て仰天!
 なんとシャープス・アンド・フラッツをバックにトニー・スコットが吹いるのだ。
 
 とんでもない珍品。作曲もトニー・スコットである。
 1961年の東芝レコードP-5053とまでは判明するが、これ以上はわからない。
 LPなんだろうか。
 また気になるテーマが増えた。
 トニー・スコットが5年前に来日した時にわかっていたら、本人に確認できたのだが。「屋台のラーメン、好きだったんですか?」と。

8月23日(火) 穴蔵
 午前2時起床。
 また早起きが加速しつつあるような。
 ちょっと不規則な生活(夜更かし)の必要があるなあ。
 と思いつつ、本日も終日穴蔵。
 歩かなければいかんので、スポーツ飲料を買いに、いつもは片道「30歩」のコンビニのところを片道推定「200歩」の食品スーパー往復。
 スポーツやらずにスポーツ飲料だけ飲むのが体にいいのかどうか、よくわからんのだが。
 新御堂筋の下の駐車場で何かのロケ中。
 
 フェンスを乗り越えて、マットの上の女性(服はちゃんと着ている)に男が飛びかかるシーンらしいが、何だ? ポルノとは思えず。
 周囲に数十人の野次馬?と思ったら、台本らしきもの持っているから全部スタッフ? 数人が交通整理、あとは何もせずに立っている。
 こんなに大勢のスタッフが必要なんかいな……どうやら、どこかの専門学校の生徒らしい。
 全部が映像に関わる仕事に就けるとは思えず。
 それは、日本語が書けても作家になれない、カラオケができても歌手になれないのと同じか。
 おれ自身、作家になれないままの人生だったからなあ……。
 その点、35年の会社勤務の後、プロ歌手になった(正確には復帰した)人というのはやっぱりすごい。
 その某男性ジャズ・シンガーがデモ用のカセットを送ってくださったので、夜はこれを聴きながら晩酌。
 うーん、素晴らしい。
 オリジナル・バラードでありながら、スタンダードの雰囲気と気品が漂う名唱。
 全部聴いていたのでは、飲み過ぎ、酩酊以上の状態になりそうなので、本日はA側のみとする。
 秋にCDが出るらしい。その時に詳しく紹介予定。
 明日はBサイド用にバーボンを買ってくることにしよう。

8月24日(水) 穴蔵
 さすがに毎日「終日穴蔵」とはいかない。
 特に明日は銀行のATMが混むから、銀行関係その他の雑件片づけに、昼前から梅田へ。
 天気予報は雨/曇だったのが、真夏の日照りである。
 ついでだから、書店巡回コースを反時計回り。
 ジュンク堂→旭屋→久しぶりに「市力」で昼飯。客はおれひとりであった。
 扇町公園。
 ルン吉くんは7月27日と同じ定位置で日傘を差して瞑想にふけってはる。
 これで5月1日以来、ここを動いてないような……。
 
 ズボンがスダレ状で……構造の詳細がよくわからないが、要所要所はひも状に連結してあるらしい。
 クールビズの今はいいが、ウォームビズにどう対応するのか(上半身はすでに対応済みだが)心配になってくる。
 帰路、中本酒店でジャック・ダニエルを1本購入。
 夜はこの水割りで、昨日のジャズ・ヴォーカルのつづきを聴く。
 秋のCD発売まではマル秘かと思ってたら、ライブでは何度も歌われているらしい。
 それなら伏せることもあるまい。
 山下洋輔さんの作曲で、これに上山高史さんが詞をつけた『Only Look At You』という美しいバラード。
 ピアノソロは先日のハチで聴いたばかり。ヴォーカルは初めてだが、英語が完璧すぎて聞き取れない。「……もう抱きしめられる年齢ではないから、ただきみを見つめているだけだよ」といったところらしい。
 この曲、唄を聴くまで、タイトルを「At Me」と誤解していた。女性が「私だけを見ていて」という印象で記憶していたのだ。(8/8記事は訂正しないままにしておくことに)
 歌っているのはむろん上山高史さんである。

8月25日(木) 穴蔵
 わ、午前2時に目が覚めた。
 われながら、夜更かし/夜遊びできない体質には困ったもの。
 明け方、ボケーとテレビ。
 早朝のニュース確認以外にはほとんどテレビは見ない。
 おれが好きなテレビ番組といえば、放送開始前の時間、定点カメラで街の映像を映しているやつである。
 騒がしくなく、見ていて飽きない。
 今、関西でこれをやってるのは関テレとテレビ大阪くらいかな。
 本日の関テレ、久しぶりに阪急グランドビルの屋上から北向きのアングル。
 
 この画面、左端にわが「自宅」の、5年前までわが書斎だった部屋が映るのである。
 秋である。午前5時でも暗く、風景を楽しむことあたわず。「春は曙」の頃まで、この番組を楽しむことはなくなる。寂しいことである。
 ……ちなみにこの「番組」をどう呼ぶのか。
 関テレに問い合わせたことがある。
 「あの番組、なんというのですか」
 「番組前の放映ですから、番組表には載せていません」
 「そうでなくて、電波が出てない時のを『砂嵐』というでしょ。定点カメラの映像も、現場で何かそういう呼び方はないんですか?」
 「ちょっとお待ち下さい」(1分ほどして)「特に呼び方はないそうです」
 「いつ、どのアングルで放映されるか決まってないのですか?」
 「それは非公開になっております」
 ……ということで、定点カメラにサーチライトを使ってモールス信号のメッセージを送るというアイデアは使えないことになった。
 ただ、テレビ局の現場では、あの映像の符丁は何かあるにちがいないと思う。
 1視聴者として電話で問い合わせただけなので、ご存じの方あればご教示いただきたい。
 終日穴蔵。
 少しは仕事もするのであった。

8月26日(金) 穴蔵/ミナミ
 終日穴蔵。
 ……のつもりであったが、タイムマシンの部品を買いに、久しぶりに恵美須町へ。
 ニノミヤのパーツ売場その他。さすがにヨドバシにはこの種の売場はないからなあ。
 散歩かねて日本橋筋を北上、ナンバまであるく。
 午前中なので、Musicraftはまだ開いてない。
 心斎橋まで歩いて、東急ハンズへ。8階の文具売場、エレベーターで昇降。
 さらに心斎橋筋を北上。
 思い出して、専属料理人にメール。
 「東急ハンズにいるので帰宅は午後2時頃」と送ったら「今、ハンズの2階にいます」と返ってきた。
 月末まで「ハンズメッセ」というバーゲン開催中で、友だちと来ているのだという。へえ、気づかなかった。
 もう丸善(閉店/秋にそごうに移るらしい)前まで来ていたし、引き返してランチを奢らされてもかなわんので、そのまま北上。
 ……あとでチラシを見せてもらったら、「クラリネット14000円」というのがあった。
 どんなものなのか。ハチの常連のひとりがクラを練習中で、「セルパー」だったか「クラントン」だったか、そんなブランドで9000円だったという。まあまあ音は出るらしい。
 衝動買いしなくてよかった。
 本町でボンクラ・サラリーマン時代の知人とランチ。おれだけ中ジョッキ。
 なかなかいい気分である。
 北御堂が「盆踊り」の準備中であった。
 
 この界隈、ボンクラ・サラリーマン生活のうち20年近く通勤していたが、盆踊りがあるとは初めて知った。
 たまには歩いてみるものだ。店も建物もずいぶん変わっている。
 日射し強く、歩くのはここまで。
 地下鉄で帰館。
 午後は穴蔵にこもる。

8月27日(土) 讃岐/日生
 わ、朝5時前に時ならぬ驟雨、土砂降りである。新聞配達諸君、災難であろう。
 20分ほどでさっとあがった。
 発作的に讃岐うどんを食べに行くことにした。
 ということで、高松経由日生に行ってきた。

8月28日(日) 穴蔵
 終日穴蔵。
 あまり仕事はしないのであった。
 明日からしばらく播州龍野行きである。

8月29日(月) 大阪→播州龍野
 早朝の電車で播州龍野へ移動。
 朝9時の龍野、涼しいのだが、おれには冬の寒さを予感させる気温であって、気が重くなる涼しさである。
 下男(おとこし……原義は「男衆」らしいが)に徹して、片づけ、掃除、買い物、炊事、その他をつつがなくこなす。
 あ、21時に近い。
 明日が早いので、もう寝るのである。

8月30日(火) 播州龍野の日常
 明け方、冬の到来の予兆を思わせる涼しさ(おれには寒さ)である。
 快適だが気が重い。
 半分書斎、半分下男の日常である。
 昼食が終わった午後。
 急に老母が、洗濯物を取り込む。「湿気が入るから、南側の戸を閉めて」という。
 と、2分もしないうちに雨が降り出した。
 80数年の居住者の感覚、恐るべし。
 2階書斎の窓から見ていると、雨宿りの雀が騒がしい。柿の木に避難したり、目の前に軒下に来たり。意外に集団行動をするのだなあ。
 「すずめのおやど」というスナックやカラオケ店が案外多いのは、こういう雀の行動を客に期待しての命名なのかな。
 と、前の屋根にとつぜん数十羽。
 珍しい光景なので写真を撮ろうと、少し窓を開けたら、いっせいに飛び立ってしまった。
 エアガンで撃たれるのを警戒してか。
 
 1羽だけ残っている。
 こういうのが銃で撃たれるのであろう。
 単に「雀のお宿」→「ジャクのおやど」→「ジャッキー・バイヤード」という連想だけど。

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