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『マッドサイエンティストの手帳』213

●第2回小松左京賞授賞式

2001年10月1日(月) 受賞作は町井登志夫『今池電波聖ゴミマリア』

10月1日(月)
 午後のひかりで上京。大阪は昼前まで断続的に強い雨が降ったが午後はやむ。が、東海道全体に降ったり止んだり、夕方、会場のキャピトル東急ホテルは雨。が、東京から丸の内線議事堂前から、地下5階くらいまでもぐったり曲がったり10分以上歩いて5番出口まで行くと、通りを隔てたところだから、傘は不要なのであった。
 さらに「地下二階」とあるのだが、どう考えても会場は「地上1階」道から歩いて入ったフロアなのである。どうなっとるのだ。
 第2回小松左京賞授賞式。
 正確には『株式会社角川春樹事務所創立五周年記念祝賀会 及び 第二回小松左京賞授賞式』である。
 前回が昨年の9月29日であったからねほぼ1年ぶり。
 大杉明彦社長の挨拶があり、つづいて「角川春樹事務所と角川書店の区別がつかない」某衆議院議員センセイの挨拶があり、そのあとに、なんと瀬島龍三氏が登壇した。うへっ、こんなところで実物が見られるとは! デジカメ持って前へ。と、横にデジカメ構えた大森望、お互い好きですなあ。
 1911年12月生まれだから89歳である。ハインラインより若くクラークより上である。
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 杖もつかず、きちんと立ったままの長口舌。
 日本推理作家協会賞受賞『沈黙のファイル 「瀬島龍三」とは何だったのか』(新潮文庫)の印象が強く、ゴルゴ13には何度もモデルとして登場しているから緊張したが、挨拶はバルセロナから神戸までの大航海プロジェクトの思い出を淡々と語る、ごく品のいいものであった。
 小松左京賞の式典もごくあっさりとしたもので、受賞作は、選評によれば「スクール・バイオレンスの形式に仮託して、近未来社会におけるITの、人間の内面に及ぼす心的側面と電磁波に象徴される物的側面への問題提起を投げかけてくる作品」で「荒唐無稽であるにもかかわらず、なまなましいリアリティと警鐘を感じさせる」らしい。前年の「エリ・エリ」とはがらりと違った作風らしく、楽しみである。
 町井氏の挨拶も異色で「親族や職場の人たちを呼ぼうか迷いましたが、この雰囲気で、やっぱりひとりで来て正解でした……」といったもの。緊張気味で、現在どんな仕事をされているのか聞きたかったが。
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 それでもちゃっかり記念写真。話してみるとたぶん面白い人なのであろうが、本日は祝辞と挨拶がいっぱいで、とても時間なし。タイトルからいっても、たぶん名古屋市内の会社勤務なのだろう。ジャズ・ファンだといいけどねえ。
 会場、SF関係者色々。
 「オルガニスト」の山之口洋さんと初対面。先日まで某大手家電メーカーの研究者であり、わが実兄を介して間接的には知っていたのだが、ジーンズ姿で、こんな研究者らしからぬ風貌の方だとは思わなかった。その語り口もしかりで、いっしょに飲んだら楽しいだろうなと水割りを飲みながら思ったのだが、こりゃおかしいか。パーティの席ではなかなかひとつのテーマを議論するというわけにもいかないのである。
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 大原まり子さん、神林長平さんと、SF作家クラブ新旧会長に挨拶。神林さんの会長というのは面白いと思う。……ついでに松本市長選に立候補したらどうなのだろう。松本在住のファンが「勝手連」みたいなの組織しないかなあ。わしでよければ応援演説に行くけどねえ。
 カジシンの熊本市長というのはあるかもしれない。あとはどうだ。島根のなんとかいう田舎町で石飛町長はいけるんじゃないか。もと町会議員という経歴があるし、だいたい議会でマイク不要だから、エコロジーの立場からアピールできるのではなかろうか、などと愚考する。
 第1回受賞の平谷美樹さんも。
 石川喬司さんも。
 巽孝之さん、小谷真理さんも。巽さんとは重要未確認情報……まだよくわからない話である。むむむ。
 星敬さん、堺三保さん……。
 森山威男追っかけの盟友・今野敏さんから肩を叩かれる。大男だからびっくりするよ。デビュー作「怪物が街にやってくる」を森山入院事情を知らなければ書けない作品と「正しく」評価したのは吾輩だけのはずで、それ以来、会うと森山情報しか話さないなあ。追っかけではこっちがかなりリードしている。写真はあと右へ、高橋良平、山田正紀、高千穂遙、大森望(敬称略)である。
 さて、何が楽しみといって、昨年感嘆した森村誠一氏の締めの挨拶! これが聞きたくて大阪から来たようなものである。
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 ともかく大まじめな顔でとんでもないヨタを飛ばすセンスに、昨年からもうすっかりファンになってしまったのである。
 本日の挨拶も、まあ要約すれば「長くて3年、本人しだいで短縮できる。ともかく全部がクリアされるまでみんなで頑張ろう」ということだが、この話術、いやはやもうまったく素晴らしいものだ。
 大笑いしつつも感動するなあ。
 「舞台」を降りて小松の親っさんと挨拶する森村先生、表情が全然変わらないところが素晴らしい。
 来年も再来年も、ずーーっと聞きたいものだ。
 さよう、そのためには角川春樹事務所を応援しなければならないのである。
 ……なとど、最終の新大阪行きひかりの車中で考えたのでありました。


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