『マッドサイエンティストの手帳』759

●マッドサイエンティスト日記(2021年7月後半)


主な事件
 ・神戸新聞文化センター(16日)
 ・播州龍野いたりきたり


7月16日(金) 神戸新聞文化センター
 薄く曇りて風暑からず。穴蔵にいる限り快適である。
 昼前に出で、阪急特急で「越境」、三宮へ移動する。
 午後、神戸新聞文化センターへ。眉村さんから引き継いだ講座である。
 エッセイと短編、7篇を題材に合評会形式。
 面白い作品が揃って、しゃべることが多いが、中でもいちばんの「話題作」が次のようなエッセイ。
 内容は「気になる書名の方があって探していたら、子供が電子書籍で見つけてくれたので、初めてパソコンでの読書を体験した」というもの。
 その本が山ア努『柔らかな犀の角』。これが週刊文春連載「私の読書日記」をまとめた本であることから、話題がやたら拡がり(『いいかげんワールド』について見事な書評あり、小生は15年前にこれを読んで驚いた)、『モリのいた場所』がらみで熊谷守一(池袋の美術館へも行った)まで、雑談部分がやたら長くなる。
 短篇にも古いSFを引き合いに出したい作品があり(勝手に「壁の中」ものと呼んでいるのだが、コングスウェルの短篇に由来する「封じ込められた世界」パターン)、半世紀前の作品と比較して話すとくどくなってくる。反省しなければ。
 この講座のメンバーは「異世界通信」の寄稿者でもあり、この本の話もしていたら、相当な時間オーバーになってしまった。
 夕刻帰館。
 夜はテレビで『サマーウォーズ』を見る。
 これは12年前に劇場で観ている。
 うーん、ヴァーチャル戦闘の部分はちょっと古びた感があるなあ。

7月17日(土) 穴蔵
 晴。終日穴蔵にあり、書を紐解いて過ごす。
 昼のニュース。「本日、気象台は近畿地方と東海地方が梅雨明けしたとみられると発表した」とか。
 今頃「みられる」といわれてもなあ。意味あるのか。
 大規模修繕工事、本日リビング側のネットと足場が撤去されて、4ヶ月ぶりに南側の視界が開けた。
 梅雨明けよりも、こちらの効果が大きい。
 夜、暮れゆく北梅田を眺めつつビール。やはりこの雰囲気がいい。
  *
 パウエル師匠、もう少し暗くなってから水割りに切り替えて、モンク師匠を聴きつつ。
 今日はいい日だ。

7月18日(日) 穴蔵
 晴れて夏日の予定だったのが、午後にとつぜん雷雨あり、あとは曇天。
 浮かれ出ていた連中、少しは懲りたか。
 休日なので、わしゃ終日穴蔵にこもる。
 筋力の低下が気になるが……
 昼と夜、YouTube配信のオンライン企画をふたつ視聴する。
 それぞれ面白いのだが、規模といいテーマといい、SF大会の自主企画に近い印象である。
 こんなのが数十、集中して開催されるのがSF大会で、参加者が一堂に会するのが星雲賞授賞式ということになるのか。
 オンラインで数百人規模のイベント開催は難しそうだ。
 やはりSF大会はリアルに限るか。
 ……と、来月の高松でのSF大会が気になるものだから。
 月光仮面は出てくるのか? あ、盗撮は禁止か。と、何のことかわからんだろうけど。

7月19日(月) 大阪→播州龍野
 ややこしいく慌ただしい日である。
 休日と思ってたら平日である。そういえばそんなニュースを耳にした覚えがある。
 移動祝祭日を木曜に移し、金曜が運動会、土日が休みで4連休という。
 面倒なことである。
 近所の医院へ行く予定を繰り上げて、本日に。これは10分で終わった。
 9:15に播州龍野のクリーンセンターに電話。ゴミの搬入は明日でも可能という。
 9:30に出て、播州龍野へ移動する。11:37に本竜野到着。
 炎天である。
 午後、実家でバルサンを焚く(という動詞でいいのかな)。ちとややこしい気配がするので、この際、全室に煙を充満させる。
 100畳に一人だから、つぎつぎ仕掛けていくだけで、連続放火犯になった気分である。
 屋内に入れないので、この間、表と裏の庭の雑草処理。
 さすがに熱中症に注意だな。
 雑草は30リットル4袋になった。
 夕刻に近い午後、全戸の扉と窓を開け放って空気の入れ換え。
 ああ疲れた。
 ワゴンで「はつらつの湯」へ行き、帰りに味三昧で豪華弁当を買ってくる。
 独酌。ビールがうまい。
 8時頃に2階の書斎にて横になる。
 部屋の隅にある扇風機を移動しようとしたら、カバーの止め金具が錆びて外れてしまった。
  *
 まあ、カバーなしでも何も困らない。100畳にひとりだから、エアコンの取り付けようがなく、夏は扇風機のみ。
 片づけが面倒で、この10年、書斎にはストーブと扇風機が並べてある。
 この東芝の扇風機は半世紀以上使っているはず。
 当時のモーターの出来の良さに改めて感心する。
 播州龍野の夜は更けゆく。

7月20日(火) 播州龍野→大阪
 播州龍野にて目覚める。
 本日も炎天なり。
 12室約100畳ほどの大部分を掃除。ややこしい「死体」は出てこないが、よくわからん虫の死骸が色々。
 昼に軽ワゴンに雑草の袋を詰め込み、13時に揖西のクリーンセンターへ。
 龍野のゴミ持ち込みの手続きはややこしく、電話で予約、時間は午後に限られる。
 数日前から天気予報を見ながら判断しなければならず。
 困ったものだ。
 ゴミ投棄の作業は5分で終わり、タイムマシン格納庫に引き返す。
 午後は実家用「防犯用具」の工作……ボール盤を使って部品を作るつもりであったが、暑い。
 スレート屋根の倉庫内は44℃である。
  *
 10分が限界。
 本日の作業はあきらめ、午後の電車で帰阪する。
 夕刻、穴蔵に戻る。
 室温30℃。ほっとするなあ。

7月21日(水) 穴蔵/ウロウロ
 朝である。
 播州龍野での肉体労働の反動で、脚腰ガタガタと覚悟してたら、じつに快調。
 筋肉がむずむずしてくる。
 世間は明日から4連休なので、本日中に雑件を片づけることにする。
 午前中、炎天下の梅田あたりをうろうろ。地下街がほとんどだけど。
 ATMや中央郵便局に行き、ついでにアバンザの地下で散髪。ジュンクドー本店に寄り、ついでに梅田地下の南端から渡辺橋まで行ってみる。
 このあたりは3,4年ぶりであろうか。高層建築が増えた気がする。
 堂島川沿いに福島あたりまで歩きたいが、さすがに炎天はつらい。曇天の日にまた。
 梅田新道経由で引き返す。
 9,000歩を超えた。
 午後は穴蔵にこもる。室温32℃。今季はじめてエアコンを稼働。
 たちまち夕刻。
 専属料理人が並べた数皿で晩酌。
  *
 先だって某方面からいただいたサクサクしょうゆアーモンドがうまかったのだが、通販でしか入手できない。
 ……と思ってたら、三番街北端の「雑貨屋」に置いてあるのを発見したという。キッコーマンの子会社製。ヒガシマルも頑張れよ。
 これで豊崎西公園南…(以下略)のワインを少しばかり。うまっ。
 本日もよく体を動かした。早寝させていただく。

7月22日(木) 穴蔵
 世間は4連休の1日目。
 本日も炎天なり。
 終日穴蔵、書を紐解きて過ごす……つもりであったが、専属料理人の体調いまひとつ。コロナではないと思うが。
 午後、買い物の代行。ついでに1時間ほど炎天下をうろうろ。
 午後3時頃、北消防署の裏を抜けようとしたら、訓練塔から時ならぬ絶叫。
  *
 隊員諸君が酸素ボンベ着用でひしめき合っている。何の訓練だ? 猛暑にめげず、ご苦労様である。
 ジュンクドーを覗き、食品スーパーを回って帰館。
 夜、専属料理人は自分でおかゆを作るという。
 念のため食事は別にして、わしゃ穴蔵にて自炊独酌。
 枝豆を茹で、翁豆腐のヤッコ、唐揚げとキャベツなど並べて盛大にビール。播州龍野での独酌とそう変わらず。
 明日もこのパターンでありますようは元気になってくれますように。

7月23日(金) 穴蔵/ウロウロ
 4連休の2日目。本日も炎暑甚だし。
 専属料理人の体調は回復しつつあるようだが、大事をとって本日も「別生活」とする。
 午前は穴蔵にて、一応机に向かう。
 仕事はたいしてはかどらず。
 昼は、揖保乃糸(黒帯)を茹で、せっかくなのでビール一杯。
 13時からBSで『許されざる者』を見る……つもりが、始まって5分も経たないうちに居眠り。昨夜眠れなかったからなあ。
 ベッドで本格的に昼寝。目覚めれば15時半であった。
 『許されざる者』はまだ見ていない。『ワイルドバンチ』以降の数少ない重要西部劇らしいので、ちょっと反省。
 16時頃に出で、日陰を選んで天六のツタヤまで歩く。
 が、DVD見当たらず。探し方が悪いのかもしれぬが、もはや「西部劇」というカテゴリーがない。黒沢やヒッチコックですら、もう監督のコーナーがない。ちょっと古い映画はネットで探すしかなくなったのだろう。
 こんな時、最高の相談相手はワイルドバンチの庄内さんだったのだが、亡くなられてもう6年……あ、先日が7回忌であったか。
 庄内さんがいなくなってから、映画を見る本数が急減したようである。
 結局、ツタヤでは何も借りず。
 帰路、中崎町のヤマタツでトンカツを買って帰館。
 シャワーの後、本日も穴蔵にて楽しき独酌。
 枝豆、翁豆腐のヤッコ、ヤマタツのトンカツ、キャベツざく切りなど並べて盛大にビール。
 今夜はDVDで気楽に『リオ・ブラボー』でも見るか。

7月24日(土) 穴蔵
 4連休の3日目。本日も炎暑甚だし。
 梅田方面はたぶん人出が多いであろう。
 終日穴蔵にあり。
 少しは仕事もするのであった。いと少なしを。
 夜、専属料理人は体調まあまあというので、残念ながらありがたく普段の晩酌。
 和系で、枝豆、ヤッコ、刺身などでビール。
  *
 引き続き穴子の寿司で「驚愕の6冠」。
 いかんなあ。休日が続くと、つい飲み過ぎてしまう。
 DVDで『非情の罠』を見る。初期のキューブリックはいなあ。

7月25日(日) 穴蔵
 4連休、やっと最終日。本日も炎暑。ただし少し雲もあり。
 終日穴蔵にあり。
 午後、DVDを見て過ごす。
 『墓場なき野郎ども』と『Born to Kill』(1947)。
 うーん。やはり活劇はドン・シーゲルみたいなカラッとしたタイプがいいな。
 この歳になると暗いのは楽しめない。
 合間に、移り行く雲の形をボケーーーッと眺める。
  *
 大きいのは真ん中。
 たちまち夕刻。
 専属料理人が(小鉢が多いが)10皿ばかり並べた。やりすぎではないか。
 体調不良時の食材を早く使わねば、ということらしい。
  *
 枝豆、ヤッコ、蛸煮、白エビ掻き揚げ、サラダ、野菜炒め、筍煮、生生姜など。
 サラダ以外は、わが好みの居酒屋メニューではないか。
 不本意ながらビール、あと冷えた「驚愕の6冠」をチビチビグビグビ。
 4連休の終わりにふさわしい晩酌である。
 明日はやっと平日。少しは筋肉を動かすことにしよう。

7月26日(月) 穴蔵/ウロウロ
 平日である。
 ほっとするなあ。普通に外を歩ける。
 昼前、貨物線の地下化工事現場に沿って、阪急中津経由、北郵便局まで。荷物投函。
 ついでにスカイビル北の里山を抜けて、ホテルプラザの跡地まで歩く。
 本日は小松左京師匠の命日(2011年7月26日没)。もう10年になる。
 箕面の瀧安寺へ墓参に行くべきなのだが、この炎暑なのでご勘弁いただき、小松事務所のあったプラザ跡地で黙礼することにしている。
 (瀧安寺は新緑か紅葉の季節にしている。)
 跡地には51階建てのタワマンが完成間近。
  *
 22階にあった事務所の位置は、タワマン中ほど、少し東側(クレーンの先端あたり)の空間だったように思うが、確信はもてない。
 そのうち入居が始まるだろう。
 プラザ跡詣では今年で終わりにして、来年からはサンケイブリーゼ(サンケイパーラー跡)にするか。
 うめきた2期地区を横断、グラフロ、ヨドバシ、紀伊国屋、ジュンクドーを回って帰館。
 7,800歩になった。
 意外に脚力は衰えておらずホッ。

7月27日(火) 穴蔵
 終日穴蔵。
 またも眠りが不規則になってきた。
 午前3時に目覚め、2,3時間起きて2時間ほど居眠り、この繰り返し。
 起きてる時間は、何か読むかDVDを見るか食事。
 これで1日が過ぎる。
 本日の大阪のコロナ感染者は741人だが、あまり報道されてないような(このところテレビは定時のニュースも運動会のことばかりなので見ていない)。
 近いうち1,200人(4月半ば)を超えるのは確実と思うが、何もしないのかしらん。
 わが集合住宅に救急車が2回来て「夫婦もの」を運んで行った(らしい)というのだが、事情はよくわからぬまま。
 昨年で理事長役が終っていて、助かったとしかいいようがない。

7月28日(水) 穴蔵
 睡眠不規則。
 午前2時に目覚めてしまう。
 朝まで雑事。
 6時頃に直射光が入り出したので、エアコン稼働させて寝る。
 目覚めれば10時過ぎであった。
 昼食後、BSで『私は告白する』を見る。これは見てなかった作品だが、見なくてもよかった。もう暗いのは苦手だ。
 あと、筒井康隆『活劇映画と家族』(現代新書)を読む。
 タイトルは「活劇映画における疑似家族」とした方が正確らしい。
 活劇映画(ギャング映画、西部劇含む)における「疑似家族」的な構造を論じた珍しい映画論。
 作中人物の疑似家族もあれば、ジョン・ヒューストンやハワード・ホークスの「監督一家」も論じられる。
 この「監督一家」はよくわかる。先代歌之助さんがよく「米朝一門は疑似家族なんで」と話していたものである。
 ハワード・ホークスはだいたい見ているがヒューストンの旧作には見てないのが多い。
 しばらDVDを探すことにしよう(こんな時にワイルドバンチの庄内さんがいないのは、本当に困るなあ)。
 夕食時、NHKで定時のニュースを見る。
 珍しく最初から新コロナをやっている。東京の感染者が3,177人で新記録。大阪も798人で、新記録が視野に入ってきた。
 がんばれ、金メダルに手が届くぞ……とアナウンサーが興奮しないのが物足りない。

7月29日(木) 穴蔵
 相変わらず不規則な睡眠がつづく。
 0時過ぎに目が覚めて、2時過ぎまで雑事、また寝て、4時過ぎに起きる。
 ここからはふだんの生活パターン。
 また眠くなりかけた10時頃に荷物が届いた。
 久しぶりに肉体労働。
 荷物を小分けして再荷造りしたり、急いで手紙を書いたり、ヤマト運輸の営業所を往復したり。
 相当な汗が出た。水分補給。
 午後は、眠くなりそうなので、炎天下を天六まで歩き、ツタヤで『白熱』その他数点を探すが成果なし。やはりどれかのネット会員になるしかないか。
 ジュンクドーに寄って帰館。
 また相当汗をかいた。
 シャワーの後、暮れゆく北梅田を眺めつつ水分補給。
  *
 本日の大阪の感染者は932人。大台に少し及ばず。新記録まで1週間か。
 ともかく普通に就眠するつもり。
※注目の予想。
 29日東京都モニタリング会議。東京は「爆発的拡大」に向かっており、8月11日の感染者4,532人と試算。
 8月11日を注目して見守りたい。わしゃまだ甘いと思うが。大阪も爆発的に増えるぞ。

7月30日(金) 穴蔵
 眠り断続的であるが、5時に起床し、なんとか普通の生活時間に戻す……つもりでがんばる。
 ともかく昼寝しないことである。
 ドタマはまったく働かず。
 エアコン稼働させてDVDを見て過ごす。
 岡本喜八を3本『ああ爆弾』『殺人狂時代』『どぶ鼠作戦』。
 たちまち夕刻。
 晩酌時、ニュースの時間にガースーの台本棒読みが始まったのでテレビは切り、パキート聴きつつ晩酌。
  *
 枝豆とヤッコでビール、あとスパニッシュ・オムレツ(ポテトの下味が特別なんだとか)で中本ワイン。
 眠くなってきた。
 大阪の感染者は882人。新記録達成は8月10日以降か。

7月31日(土) 穴蔵
 早くも土日である。
 本日も炎天なり。なんとか普通に起きて、普通の1日を過ごす。
 緊急事態発令前夜、この土日はアホが浮かれ出るであろう。
 穴蔵にこもる。
 10年前の今日はジャズりの専門店ミムラの三村晃夫さんの告別式であった。
 この頃はややこしかった。
 7月26日に小松左京師匠が死去。家族葬だったため、知らされたのが7月28日午後であった。
 それからが大騒ぎ。メールや電話が飛び交い、追悼記事は書かねばならず。ほとんど眠れず。
 と、29日夜遅くに三村さんが急逝、30日に知らせを受けて、31日が告別式。
 SFとJAZZの支柱を同時に失ってしまったのである。
 JAZZに関していえば、この10年、CDの購入枚数が激減したのは確かである。
 ともに業界にとっては不幸なことであった。
 ……といったことを思い出しつつ、たちまち夕刻。
 本当は本日1年半ぶりにライブを聴きに行きたかったのだが、梅田の人出(しかも阪神DPでクラスター発生/休業)を思うと、出歩く気分が失せる。
 しかたあるまい。
 おや、東京の本日の感染者は4,058人。
 29日の東京都モニタリング会議の「大予言」は、東京は「爆発的拡大」に向かっており、8月11日の感染者4,532人と試算……ではなかったか。
 わしゃこの予測は控えめ過ぎると思ったけど。8月2日(月)は減るだろうけど、3日から「爆発的」に拡大、週後半には「試算」達成だろう。
 大阪の感染者は1,040人でやっと大台。新記録はこれからだ。
 テレビアナウンサー諸君、運動会はいいから、コロナを絶叫中継やれよ。ガースーのしゃべりでは全然効き目がないんだから。


[最新記事] [次回へ] [前回へ] [目次]

SF HomePage