『マッドサイエンティストの手帳』693

●マッドサイエンティスト日記(2018年12月前半)


主な事件
 ・シンギュラリティサロン(1日)
 ・創サポ講義(1日)
 ・大阪JAZZ同好会@ディアロード(2日)
 ・忘年会的SF検討会(7日)
 ・播州龍野いたりきたり


12月1日(土) シンギュラ/創サポ/ニューサン
 目覚めれば師走であった。
 午前中、資料読み、メモ作成。
 昼過ぎに這い出て、グラフロ・ナレッジキャピタルへ。
 久しぶりにシンギュラリティサロンに出る。
 本日のゲスト講師は淺田稔先生(今まで来られなかったのが不思議だ)で「人工痛覚回路はシンギュラリティか?」。
  *
 淺田先生の話術は相変わらず素晴らしいもの。ロボット研究はつきつめれば人間研究であり、赤ちゃんの発達過程、「心」の問題、身体性など話題はすごく広い。人工システムに痛覚回路を埋め込むことでロボットがどう変わるのか(用途によって使い分けられる?)、モラル、倫理感の問題など、大きく広がりだしたあたりで時間切れとなった。次回(ぜひともやってほしい)に持ち越しのテーマ多し。
 グラフロから天満橋へ移動。
 夕刻からエル大阪で創作サポートセンターの講義。
 提出作品4篇、すべてSFファンタジーである。
・巨大ロボどうしの戦闘SF。主役が「自宅が変身した」巨大ロボという設定が面白い。
・異界からの災厄がもたらされるが、画才のある少年が操られ、水害や噴火の絵が実現していく……
・ファースト・コンタクトテーマの力作。よくいえば「宇宙のランデブー」「沈黙のフライバイ」を引き継ぐ作品だが、20数枚に100枚分ほどのアイデアの過剰詰め込み。この筆法は評価すべきか、もったいないというべきか迷う。
・台風発電船が登場する海洋SF。ここに「半機械知能」天才少女や人類至上主義という過激勢力がからむ中篇だが、長篇の圧縮版か。
 20時過ぎまで。
 帰路、ひさしぶりにニューサンに寄る。
 ニューオリンズ・ラスカルズを2ステージから聴く。
 忘年会シーズンで、二次会らしいジャズと無縁の客もいて騒がしいが、3ステは静かに聴けた。
  *
 「In The Upper Garden」が泣かせる。つづいて、なんと「砂にかいたラブレター」の正調ニューオリンズスタイルによる初演、これは素晴らしい。ラストは「ドクター・シャズ」。
 色々なことが重なる1日であった。

12月2日(日) 大阪JAZZ同好会@ディアロード
 本日もジャズの日とする。
 昼過ぎに出て片町線の放出へ。
 午後、ディア・ロードで大阪JAZZ同好会の例会。
・(特集)渡米前に録音されたジョージ・シアリング。戦時期のイギリスの空気と、スタイル確立前のシアリングの試行錯誤ぶりが面白い。
・新譜紹介。ケンペフのオーケストラとか、小川理子さん。畑ひろしなど。
・(持ち寄り企画)放送録音された名盤。それぞれ面白い。おれはハッセルガード参加のグッドマンのつもりだったのが、パソコンで聴いていて取り出すのを忘れ、空振りになってしまった。ボケ進行中なのである。嗚呼。
 夕刻、大阪駅のイカリで総菜類(ここのはなんとか食べられる)を買って、帰館後、独酌。
 と、専属料理人から、夜中に帰るとメールがあった。
 もう眠い。
 ま、明日から食生活はちょっとましになるか。

12月3日(月) 穴蔵
 未明の雨が朝にはやむ。
 普通の日常生活に戻り、終日穴蔵。
 外出は、午後、ジュンクドー往復のみ。
 週間ランキングの本棚に『バカとつき合うな』という対談本が並べてあって驚く。帯に12万部突破とある。
 本を購入することは著者(話者)と「つき合う」ことになるわけで、このタイトルはパラドックスをはらんでないか?
 それが12万人……1億人中の12万だからごく僅かともいえるが。むろんおれは触れもせず。
 夜はミニ静岡メニューが並ぶ。
 ポイントは生山葵。
  *
 刺身にも肉にも合う。他にしらす入りのサラダなど。
 これでビール、安ワインすこしばかり。
 早寝するのである。

12月4日(火) 「恐怖の報酬」
 昼前に出て、アメリカ村のシネマート心斎橋へ。
 「恐怖の報酬」【オリジナル完全版】を見る。
 12時からの回。平日の昼間は空いているからいい。
  *
 この作品、本当のオリジナル(ジョルジュ・クルーゾー監督/イブ・モンタン主演)を観たのは中学生の時である(シェクリィ「危険の報酬」を読む前)。ともかく圧倒された。
 1977年にフリードキンのリメイク版を見てがっかりした。展開がよくわからず、ラストもよくわからない。すべてが主人公の見る幻想かなと思ったほど。
 それから40年、【オリジナル完全版】の意味がよくわかった。1977年に見たのはズタズタ(30分カットした短縮版)だったのだ。
 フリードキンの「完全版」、4人の「前科」などよく出来ているし、ラストもいい。クルーゾー版「恐怖の報酬」と肩を並べる傑作であることもよくわかった。
 ただ、おれはやはりクルーゾー版の方が好きだ。モンタンの相棒が臆病者で「これは運転の報酬ではない、恐怖の報酬なのだ」という、このコンビががいい。それに、舞台は密林より荒野の方がいい。
 ……などといいつつ「恐怖の報酬」とは60年のつき合いになるのか。

12月5日(水) 穴蔵
 雨の予報がほとんど晴。
 終日穴蔵にてボケーーーーッと過ごす。
 夕刻に近い午後、近所を散歩。
 豊崎西公園の北東隅に、1年ほど前に囲いを作り何やら工事をしていたが、その跡に小型マンホールの蓋みたいなのが3つ出来た。
  *  *
 見れば「淀川左岸線観測井」と標記してある。
 淀川左岸線(予定地)とは500メートルほど離れているが、このあたりでも地下水など調査するのかしらん。
 ネット調べてみるに、似たような「井戸」は淀川沿いに点々とあるようだが。
 こんな「淀川左岸線」と明記した蓋を作るのだから、同じものが相当数あるはず。
 前から気になっていたが、本日、2人来て何か調べている。
 蓋を開けて、巻き尺を差し込むだけの簡単な作業。5分ほどで立ち去る。
  *
 何調べてはりますねんと尋ねたいが、やはり気後れする。
 こんな場合、役人の態度は極端にわかれる。好意的にあれこれ教えてくれるか、「お宅、何でんねん」と露骨に警戒されるか。近年、後者が増えている気がする。5年ほど前に嫌なことがあって以来、おれは声がかけられない。
 担当者が「余計なことはしゃべるな」と命じられているのか、こちらの取材力の不足なのか。

12月6日(木) 穴蔵
 陰。後に雨。終日穴蔵にあり。
 ……と、同年の荷風散人なら、こう記して終わり。
 おれの場合、起床時に、今日こそは、五十嵐敬喜・堀敏明・菅原哲朗の3匹を「たっくるし」今岡清を屠ってやるという妄想にかられ、30分ほどその気分をなだめてから日常生活を送る。その辺が断腸亭とちがうのかな。
 あと10年近くこんな日が続くのかと思うと鬱陶しくなるが、35年以上続く日常だから致し方なし。
 早く死んでくれないかなあ、前記4匹。

12月7日(金) 忘年会的SF検討会
 陰。終日穴蔵にあり。
 夕刻、かんべむさし氏来穴蔵。定員2名内容非公開のSF検討会を開催する。
 翁豆腐の湯豆腐、とりあんの唐揚げなどメインにビール、酎ハイ飲りつつぐだぐだ。
 忘年会的検討会のはずが、話題はどうしても「老化」に傾く。
 事例研究として某氏(名は秘す)と芦屋小雁氏について検討する。
 ちょうど19時から毎日放送で小雁さんの「認知症」に関する番組あり、これを見る。
 実際にカメラが入っているのに驚く(番組の構成には疑問もあるが)。
 うーん。
 こうなると12月1〜2日に神戸であった「芦屋小雁芸歴70年記念 秘蔵コレクション・フィルム蔵出し上映@神戸映画資料館」には、何としても行くべきであった。
 小雁さんは2日とも登壇、特に12月2日には「今後の抱負」も語られているのである。
 今後、話を聞ける機会があるか、微妙だ。
 20時まで。
 早寝するつもり。

12月8日(土) 穴蔵
 晴。風ありて寒し。終日穴蔵にあり。
 たちまち夕刻。
 夜は地味目のメニュー。
  *
 翁豆腐のなんたら、筑前煮、魚の味噌漬けの焼いたん、サラダなどでビール、酎ハイ。
 早寝する。

12月9日(日) 穴蔵
 薄く曇りて風寒し。終日穴蔵にあり。
 さすがに運動不足、午後、晴れてきたので、1時間ほど散歩に出る。
 淀川堤、西へ行こうとしたら、新御堂の西側は通行止め。
  *
 新淀川大橋(新御堂)西側にある水管橋の撤去のため、来年9月末まで通行止めである。
 この煉瓦造りの橋脚をもつ水管橋(淀川半ばで地中に潜る)は長いこと使われていない。
 淀川左岸線の工事に併せて撤去ということか。
 堤下の高水敷に並ぶホームレス諸君のホームも撤去かな。いずこへ。
 注目して見守りたい。

12月10日(月) 大阪←→播州龍野
 早朝の電車で播州龍野へ移動する。9時前に着。
 雑事色々あり。
 事務所、金融機関、その他年末の処理事項を片づける。
 龍野東端にあるM自動車へ。自動車保険の延長手続き。播州龍野のクルマ(軽ワゴン)をどうするか迷うが、あと1年は使うことにする。
 車検で区切りとするか、次の免許の更新時に返上とするか。
 こちらではクルマなしの生活は難しく、ただ、使用頻度は減っている。
 大阪ではクルマは必要ないから、結局、龍野生活をどうするかだな。
 タイムマシン事業も年齢的に限界だし、悩むこと多し。
 M自動車の前の道、斜面の上に砂防堰堤が作られているのに気づく(たつの市中井の奥垣内)。
 さっそく見物に行く。
  *
 迫力あるなあ。もともと川がある場所ではない。豪雨で土石流が発生しかけたのだろうか。緩やかな山だが。
 事情調査は次回とする。
 夕刻に近い午後に帰阪。
 帰路は姫路から山電で新開地、阪急で西宮北口〜宝塚〜池田という変則的コースをとる。
 池田で呉春をゲットして帰館。
 お楽しみはこれからだ。

12月11日(火) 環状線
 晴。昼前に出かける。軽犯罪を実行する。
 大阪駅でICOCAで入場、環状線で西九条・大正経由、新今宮で乗り換え、関西線(今は大和路線というのか)の某駅へ。
 ボンサラ時代の知人と改札越しに「物々交換」(年末の恒例行事である)を行い、10分ほど雑談。当方はずしりとした柑橘系をゲット。
 天王寺に戻り、環状線に乗り換え、鶴橋・京橋経由、天満で降りる。
 引落額は120円。400円ほど浮いた。やはりこれは軽犯罪(キセル)だろうな。ちがうか。よくわからん。
 ま、年に1回しかやらんことだからおめこぼしを
 天満で降り、某店(本WEBで店名を明かしてないのが2つある。その1店。もうひとつは天六ちかくのカクウチ店)でちょっと一杯。
  *
 キズシ(200円)で熱燗。……歌やんを思い出す。グズラさんも。キズシは色々な思い出を喚起させるなあ。
 天五商店街を抜け、中崎町を歩いて帰館。
 120円の散歩コース、(酒代はかかるけど)なかなかのものである。

12月12日(水) 穴蔵
 朝だ。雨が降っている。食べ飽きたので浅田飴はもうやめた。
 近所の某医院で定期検診を受ける。数値はごく正常。
 あとは安心して穴蔵にこもる。
 午後は晴れ間もあり。ボケーーーーーッと過ごす。
 面白い本を色々読んでいるが、本日はちと面倒なので、明日から書くことにする。

12月13日(木) 穴蔵
 陰また晴。終日穴蔵にあり。
 ボケーーーーッと過ごす。
 集合住宅の修繕工事立ち会いなどで何度か呼び出される。
 そのたびにボケ状態(瞑想とも申せましょう)が中断される。嗚呼。
 引越を検討すべきか。

12月14日(金) 穴蔵
 わ、冬である。寒気を実感。朝、紙のゴミ出しに出で、今期初めてキンタマの波動関数の収縮を感じる。
 ということで、本日も終日穴蔵にてボケ状態で過ごす。
 明日は少し動く……つもり。

12月15日(土) 穴蔵/ウロウロ
 電天。またも冬である。当たり前か。
 終日穴蔵にてボケ状態。
 昼過ぎから晴れてきた。
 さすがに運動不足なので、午後、散歩に出る。
 西回り。富島神社の北から淀川堤へ。先日見た水管橋の撤去工事現場を西側から見る。
  *
 クレーンは設置されたが工事はまだ始まってないような。
 来年9月まで続くわけで、冬の大雨とか五月雨の降りすぎとか夏の豪雨とか、淀川増水への期待は尽きない。
 許永中の生家あたりから降りて、貨物線沿いにうめきた2期地区を回り、人出の多い地区は避け、グラフロ西側を抜けて帰館。
 7,000歩ほどになった。


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