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『マッドサイエンティストの手帳』357

●マッドサイエンティスト日記(2005年10月後半)


主な事件
 ・穴蔵の日々(〜17日
 ・播州龍野の日常(18日〜)
 ・穴蔵の日々(24日〜)
 ・播州龍野の日常(30日〜)



10月16日(日) 穴蔵
 終日穴蔵。
 某ショートショート・コンテストの応募作精読。
 「某」などと書く必要はないか。
 「創作サポートセンター」主催のコンテストの選考である。
 もう6回目になる。
 ショートショートは、もはや過去の作品との「アイデアの一致」は避けられないものの、やはり「新鮮なアイデア」は第一に評価しなければならない。
 よく読んできたつもりだが、それでも同じアイデアが過去にあるのではないかと心配でならない。
 去年から高井信さんに協力してもらっている……というより、高井さんがメインになる……のはそのためである。
 高井信『ショートショートの世界』(集英社新書)
 
 ショートショートの「定義」「歴史」「書き方」からなるショートショート入門書兼研究書兼作法書。
 意外なことに……ショートショートに関するまとまった論考が出版されたのは、1961年の別冊宝石『ショートショートのすべて』以来、なんと44年ぶりではないか!
 別冊宝石は「雑誌」であり、ショートショートのアンソロジーでもあるから、高井さんの『ショートショートの世界』は、独立した書籍としては「日本初」だろう。
 『ショートショートのすべて』が出たのは、星新一さんの作品が話題になって間もない頃で、「宝石」や「ヒチコック・マガジン」が時々特集をしていた時期の出版。
 この別冊は今も時々読み返すが、ショートショート作法についての論議の骨格は、この時にほぼ出尽くしているといえる。
 その後、数多くのショートショート集が出版され、雑誌「ショートショートランド」まで出ていたが、今は(商業出版として見ると)下火といえば下火。
 『ショートショートの世界』では、「前史」から最近の「超短篇」まで、「歴史」にいちばん重点が置かれている。というよりも「書誌的」部分がすごい。
 正直なところ、ショートショート集がこんなに出ていたとは知らなかった。
 その書影(さすがに全部は載せられなかったようだが)だけでも値打ちである。
 ショートショートの現状と未来については、あとがきでネット関連に触れてある。
 もう少し広義には「媒体」と「流通」の問題が大きい。
 表現形式としては、短篇小説側への回帰と、「超短篇」がさらに「短詩系作品」の世界に近づいていくように思うのだが……これは、明日、高井さんと会う予定なので、その時の話題だ。
 夕刻、「笑点」を見る。
 ひょっとしたら「見納め」かという気がするものだから……である。

10月17日(月) 穴蔵/ショートショート/ハチ
 定刻起床、規則正しく穴蔵にこもる。
 が、さすがに運動不足である。
 午後、自転車で梅田へ。
 同じ北区・天満に住む高井信さんも自転車でこちらに向かってくる。
 ほぼ中間点で出会う。
 別に果たし合いをやるわけではなく、ショートショート大賞の選考である。
 喫茶店で2時間ほど。……意見交換の前に、お互いがすでに下書きしている各作品のコメントを交換したら、昨年同様、評点はほとんど一致。30分ほどで決まる。
 あとは、評価の相違点について1時間ほどしゃべるが、ランクの下の作品ほど長くなるのはなぜなんだ。あら探し目的でやってるわけではないのだが。
 お互い自転車、雨が降りそうな気配なので、ビールは飲まずに双方に別れて帰館。
 夜、「森山威男Gの公認ページ」の管理人・塩之谷さんから連絡あり、またも自転車で梅田へ。
 明日の関西テレビ「痛快、エブリディ」にゲスト出演のため来阪、打ち合わせ終了ということである。
 これは南光さんが長年司会を務めている人気番組。
 森山威男追っかけナンバーワンとしてではなく、専門の整形外科医、『足のトラブルは靴で治そう』の著者としてのゲスト出演である。(10月18日朝10時過ぎ、関西テレビ)
 ちなみに、この本、表紙絵は安野光雅画伯である。ちょっと画風が違うように見えるが、意外な秘密が隠されている。
 おでん屋(というよりも「かんさいだき」という)「常夜灯」で一杯。
 あと、お馴染み「インタープレイ8」へ。
 
 入り口に飾ってある「森山威男パネル」とご対面である。
 パネル右上の茶色いのが70年代初め、森山さんが来阪途中、新幹線の中で書いた「ハチ」の譜面である。
 不思議なことに、塩之谷さんは、80年半ば(いかん、正確な年月日失念)、京都からハチの前まで森山さんのドラムを運んだが、中には入らなかったとか。おれはライブは聴いているはずだが。
 といった色々な話をしていたら23時に近い。
 酒気帯び自転車で帰館である。

10月18日(火) 大阪→播州龍野
 定刻起床。
 早朝の電車で移動、午前9時に播州たつの市龍野町の本竜野駅に着く。
 「痛快!エブリディ」放映時間には楽々セーフである。
 塩之谷さんの出番は10時半頃であった。

 おれも靴を変えた方が良さそうである。
 ウォーキングシューズも靴ひもを緩めにしてそのまま履けるスタイル。蝶結びができないからである。何度教えてもらってもだめで、この歳になればもうあきらめるほうが賢明だ。
 ということで播州の田舎生活モード入り。
 本日より、こちらもADSLにした。
 家電量販店でいちばん安い電話機も買ってくる。
 IP電話が座右にあるかたちになったが、番号は家族以外非公開とする。
 家族間ですら「電話可?」というメールで確認してからかける習慣。いきなり電話が鳴ると心臓発作を起こしかねないものなあ。

10月19日(水) 播州龍野の日常
 午前4時、カーテンを引いているのに、外が異様に明るい。
 快晴で、西の空に明け方の満月が輝いているのであった。
 暁闇なんて言葉が通用しないね、この明るさは。
 ということで、デジカメで「月光写真」を試みるが、A200でもノイズが多くてこれは無理であった。
 
 近所の眺めはこんなもの。
 肉眼では昼間のように見える。少なくとも、自転車で徘徊するにはまったく困らない明るさだが。
 タイムマシン格納庫の裏に老朽家屋がある。
 旧型マシンのジャンク品などを放り込んでいる倉庫がわりの建物。
 この庇が7月の台風で吹き飛んだまま。
 このまま崩壊してもいい建物なので放置していたら、内部に枯れ葉がたまり始めた。
 相棒の某くんとホームセンターで波板を買ってきて修理。
  
 立派なものではないか。
 材料費7千円、所用時間1時間半。
 「てったいのマタはん」くらいの仕事はできるのであった。
 ふだんならここで、デフランコでも聴きながら昼ビールといくところだが、本日は老母の検診もあり、午後は近くの医院へ。
 先月からちょっと食事の制限をした方がいい事情があったので、再検査したら異常なし。
 参考までに一ヶ月間の献立表(食品交換表とラベル表示をもとに計算したカロリー値つき/表計算ソフトで管理)の明細を持参していたら、ここまでやる人は見たことがないと看護師さんに(たぶん)褒められた。
 ドクター中松くん、やるならここまで徹底すべきでっせ。
 ……と、夜は安心してビール、水割り。
 もっとも、母親の食事だからここまでやれるわけで、同じ表計算を自分のメニューに当てはめたら、ビールと水割りのカロリー値だけで……と、3日でやめてしまった。

10月20日(木) 播州龍野の日常
 本日も快晴、午前4時の室温18℃、今期初めて20℃を切る。
 寒さと月光の明るさで目が覚めたようなもの。
 午前4時に朝刊が届くのはいいのだが、ADSL化してネットでのニュースも見ると、時間差歴然、特に大リーグ情報は24時間遅れで、いつの話か混乱してしまう。
 終日雑用。
 その割に物事が片づく実感がないのであった。

10月21日(金) 播州龍野の日常
 4時起床、室温18℃。放射冷却で寒いのである。キンタマの表皮のシワシワがラジエーター機能発揮、体熱を放射冷却して一対の睾丸を波動関数収縮させるす季節の到来を予感させるのであった。要するにキンタマの縮む季節が近いのであった。
 てったい仕事(雑務)こなしつつ、終日「書斎」。
 ボケーっと外を眺めていたら、庭のさらに先、畑の向こうからわが家に向かって三毛猫が接近しつつある。野良か? 見たことない猫である。
 と、同時に、うちの庭先に白猫が出現した。門扉側からの侵入らしい。これは首輪をしているから飼い猫か。これも初見。
 白猫、尻尾をあげて、うちの庭石に小便を引っかけやがった。犬でもあるまいに。猫もこういう「印づけ」やるのだなあ。
  
 で、外から接近してきた三毛と、庭から塀に飛び移って外へ行こうとする白、どうなるのか……。
 庭木をつたって塀に登った白、尻尾を立てて不穏な声を上げる。
 塀の向こうでも何かの気配。
 と、白が塀の向こうに飛び降り、しばらくして、三毛がもとの経路を走り去るのが見えた。
 白の勝ちらしい。体型は同等。無礼な飼い猫の方が強いということか。
 この小便猫、今度侵入してきたら成敗してやるぞ。(飼い主さん、もしこのページ見てたらごめんね。水ぶっかける程度だからね)

10月22日(土) 播州龍野の日常
 何かと落ち着かぬ日である。
 朝、ちょっと騒がしい雰囲気があったと思ったら、昼前のニュースでは人殺しである。
 「会社社長殺される、殴られたような跡……兵庫・たつの市」
 殺人事件は、5年ぶり。2000年12月の室津でのタクシー運転手殺人以来である。この事件もヘリが飛んだりで大騒ぎだったけど。
 新生「たつの市」になってひと月にもならない。
 つまらん市名にするからだ。
 このペースだと年間12人が殺されることになる……と、これはプロ野球開幕1週間のスポーツ紙論調。
 午後、さっそく「現場を見に行く」
 
 龍野橋から南へ300メートルほど、揖保川に面した駐車場の近く。
 あれ……ここは以前「龍野警察署」だった場所ではないか。
 「たつの警察」を嘲笑うかのように「龍野警察署跡」に放置された死体……春秋の筆法をもってすれば「たつの」改名が呼び起こした悲劇、おれはそこに底知れぬ闇を見る思いがしたのであった、とこれは佐野真一調である。

10月23日(日) 播州龍野の日常
 寒くなった。朝の室温15℃で、大阪なら真冬。
 播州龍野のど田舎、今年はどことも柿が「豊作」である。
 昨年は台風でほとんどの実が落ちた。そのリバウンドか、どこの木もよく実っている。
 ただし……タイムマシン格納庫のそばにある某家の庭から、雑草の生える「わが方の空き地」に迫り出した柿の木、これは台風に関係なく、毎年大量の実をつける。
 ことしは特にすごい。
 
 しかも、(甘柿なのだが)まったく採取しない。
 毎年、そのまま放置され、鳥が少しつつく程度で終わる。こちら、掃除も結構手間なのよね。ともかく無頓着。
 それ以上に、わしゃ貧乏性なのか、収穫されぬまま腐る果実を見るのが苦痛である。観賞用に植えられた木とも思えず。
 小粒の実が大量になると、採るのも手間、食べるのも手間なのであろうが、少し枝を落とせばいいはず。主の人柄が想像できる風情なり。
 昨日の殺人犯、まだ挙がらず。
 夜中に携帯電話で呼び出されて、財布は奪われてないという。
 目星はついていて不思議でないが。
 被害者は燃料販売会社の経営者……うちにも配達してもらっている。
 寒くなって、そろそろ灯油を頼まねばと思っていた矢先。
 会社は営業中であろうが、なんとなく電話しにくいね。困ったものだ。

10月24日(月) 播州龍野→大阪
 播州龍野にて、朝から色々と忙しい。
 午後帰阪。
 夕刻、穴蔵に戻る。
 こちらも雑用滞積。
 と、龍野にいる兄からメール。
 要点は「一昨日の殺人、女性、ゴルフクラブ」という線で「ほぼ確実」らしい。田舎だから、ご近所へ行けば全部わかるらしい。
 正確には、「ご近所へ行けば」ではなく「ご近所へ行かなくても向こうから入ってくる」である。
 これにて一件落着……らしい。
 つづけて兄からメール。
 つき合いで「揖龍の新しい火葬場」へ行ったら、ここは「イヴリン・ウォー並み!」といってきた。
 「ウォー並み」というのが『囁きの霊園』なのか映画『ラヴド・ワン』の方をいってるのかわからんのだが(むろん映画版の方がすごい)、近代的施設であることは間違いない。
 無理しても同行すべきだったか。
 どうやら「筑紫の丘斎場」へ行ったらしいが、ここで見る限り、映画に出てきたような派手な「商業施設」ではないらしい。

10月25日(火) 穴蔵/梅田
 早朝……といっても明るくなってから、自転車で梅田へ。
 東急インのKinko'sでレーザープリンター使用、某文書の出力。
 東へ走って、扇町公園へ。
 ルン吉くん、定位置にいない。寒くなってどこかへ移動したのだろうか……とそのまま東に進んだら、公園の南東角の交差点に佇んでいた。
 
 ん? 寒くなって「冬用」ズボンに衣替えしたのかな? と思ってよく見たら、やっぱり10月12日と同じ「夏用」というか、要するに「オールシーズン」用である。
 このズボン、足元まで「開閉可能」で、気温によって調整できるらしいのである。クールビズ・下半身版の先取りというか……どこかのアパレルが来年のクールビズ用に実用化するなら、幾ばくかのロイヤルティを支払ってあげてほしい。
 そのまま北上、天六の「十八番」で朝食。
 穴蔵に戻る。
 終日穴蔵……ともいかず。
 昼はまた自転車で「ハチ」に出向きランチ。
 古い常連の訃報を聞く。20年以上会っていないが、おれと同年代、これからも似たようなことが続くのであろう。
 帰路、「ジャズの専門店ミムラ」に寄る。
 頼んでいた Allan Vache のに加え、たまたまあった Bill Smith(cl)の「FOLK JAZZ」……1959年録音で、シェリー・マン、ジム・ホールがバックにいるカルテット。どんなものかと購入……これが大正解であった。ジャズ専門ではないらしいが、当時としては、デフランコ、トニー・スコットに並んでいたのではないか。
 
 たぶん40年ぶりにCD化されたとのだろうが、旧版を探してみたくなった。
 「たつの市」方面からメール。
 くだんの火葬場はやはり「筑紫の丘斎場」という。こちらのページで動画が見られる。……なるほど「ペット用の炉」もあって、まさにイヴリン・ウォー的「ラヴド・ワン」的。今度龍野へ行ったら見学に行ってみよう。
 これで納得したこともある。
 龍野のゴミ収集が透明の指定袋になる時の説明で、「犬や猫の死体を出す人がいて困る」と聞いたのであった。
 ペットもここで火葬することになっているのか……。

10月26日(水) 穴蔵/枯葉
 終日穴蔵。
 雑用ばかり。
 夕方のニュースでは、戎橋にまた飛び込み防止のフェンスを立てている。
 またも無駄遣いを……。必要ないだろう? 自殺防止なのかねえ。
 夜……専属料理人がいうのに、おれの龍野単身赴任中、滝川さんの『枯葉』と後藤勇一郎さんの「枯葉」(『私季』)を聴いていたらたいへんよかったというので、本日は「枯葉」大会とする。
 新じゃがのポテトパイその他でビール飲みながら、手持ちのCDから「枯葉」を抽出して流す。
 バディ・デフランコ、ビル・エバンス、ヒューバート・ロウズ、チェット・ベイカー、マイルス、チャック・ヘッジス、キース・ジャレット……あたりで、消音にしている画面内、敗色濃厚である。
 「枯葉」では、ベスト3と思うウイントン・ケリー、ステファン・グラッペリ、エロール・ガーナーが全部LPで龍野保管だから聴けず、決定打を欠く雰囲気。
 水割りに切替え。
 後藤勇一郎のヴァイオリンが終わったあたりで「画面」の方も決着がついたようである。
 鎧袖一触。
 戎橋の雰囲気やいかに。酔っぱらって、今から見物に行く元気もなし。
 御堂筋もそろそろ枯葉の季節であろう。
 明日の梅田は見物に行ってみよう。
 バーゲンの垂れ幕虚し秋の風

10月27日(木) 穴蔵/続枯葉
 穴蔵生活。
 午後、宅配便・銀行・郵便局のついでに自転車で梅田徘徊コース反時計回り。
 阪神百貨店……静かなものである。行列もなく、人出も多いとも思えず、さりとてやけっぱちになっている者もおらず、ただ普通に日常の時間が流れているだけである。
 「あんなこと」はなかった、すべて夢だったのだ……ということか。
 風蕭々。
 Book 1st、旭屋を回り、梅田Tutayaに寄ったら、CDに「枯葉コーナー」ができている。
 この季節、誰しも考えることは同じか。
 ただし「枯葉」タイトルを集めているだけで、徹底していない。「Somethin'Else」は名盤コーナーだし、ガーナーの「バイ・ザ・シー」はガーナーのところのままだし。
 知らなかったのが3枚。
 オスカー・ピーターソンとグラッペリの共演盤「Jazz In Paris」……それぞれに「枯葉」の代表曲があるのに、さらに共演とは贅沢な。
 ウイントン・ケリーの「枯葉U」……これは「枯葉」を制作した時の別テイク集。
 レッド・ガーランド・トリオ。
 この3枚を借りて帰る。
 夜は前夜に引き続き「枯葉」大会。
 おでんでビール、八海山。
 うちの専属料理人は、よくも悪くも、外でうまいものを食べると、その味の再現を試みるところがあって、本日のは「常夜灯」に近い味を出そうと試行錯誤した気配。以前の「たこ梅」系から少し淡白になった印象である。
 ウイントン・ケリー、レッド・ガーランドとくると、トミフラ師匠に枯葉はなかったっけ……。

10月28日(金) 穴蔵/中之島
 穴蔵。
 少しは仕事もするのであった。いや、少し多めか。
 こういう日に限って、ややこしいことが重なる。
 メール、電話、FAX錯綜……「殺人事件が未解決だが、おれは寒がりだからくだんの燃料店へ灯油の注文をしておくように」と龍野へメールしたつもりが横浜方面へ届いてしまって、さらに混乱。そりゃ、何のことやらわからんだろうなあ。
 午後、市内某所にあるタイムマシン検定所でトラブル発生、自転車で移動。
 久しぶりに福島経由、浄正橋を通り玉江橋を渡って中之島を越える。
 中之島通過は半年ぶりか。
 道幅が半分になったような印象。
 地下鉄工事がいよいよ中之島西端あたりまで進んでいるのである。
 「霧に沈む戦艦未来の城」の胎内に電車が走る日が来るとは、40年前には想像できなかったのであった。

10月29日(土) 穴蔵/創サポ
 3時に目が覚めてしまう。雨である。秋霖なりや。
 穴蔵にこもっていたいような日であるが、雑事あり。
 昼前に久しぶりに本町へ。
 K牟田氏の事務所へ。土曜日でも仕事中である。
 ちょっとOA機器を借りる。
 あと、落語関係の雑談。昨夜の国立文楽劇場での「米朝・吉朝親子会」の話など。クリスマス(12/25)に歌々志さんが初の独演会を歌やんでおなじみのテイジンホールでやるという。これはぜひとも応援したいところ。この日に「大惨事」が起きたら、見事に歌之助を継承することになるのだが、どうなりますやら。
 ついでに黒門市場へ。
 播州龍野用の買い物である。
 夕刻、天満の「エルおおさか」へ。
 「創作サポートセンター」のエンタメ講座「入講式」である。
 ショートショート・コンテストの授賞式を兼ねているので、選考委員として高井信さんと出席。
 ついでに「何か30分ほど」ということになって、選評を兼ねて対談形式で、高井さんの『ショートショートの世界』(集英社新書)を中心にしゃべる。
 今回は受賞作はなし、入選作2作ということになったが、これは甲乙つけがたく、2作受賞でもよかった作品。
 選評は創サポのHPに掲載されるのかな?
 
 どうもこの写真、頭上からのライティングが気に入らないなあ。
 道野重信さん(左)の『ごあいさつ』は表現形式が見事に決まった「お笑い散文詩」ともいうべき趣向。演劇などにも関わっているということで、セリフのうまさは実力であったのだ。
 齋藤尚規さん(右)の『途切れた風景』は5枚で短編の奥行きを感じさせる、テーマと構成が優れた作品。齋藤さんは第2回から応募していたという。
 まったく対照的な作風で、この2作が並んだのはよかったと思う。
 帰路……東梅田経由。あ、ファイブでは土曜日でラスカルズ演奏中である。
 明日からしばらく田舎暮らし、聴き納めに寄りたいところだが、明朝までに片づけねばの雑用が残っており、まっすぐ帰館である。

10月30日(日) 大阪→播州龍野
 早朝の電車で播州龍野へ移動。
 冬に備えて防寒衣料も携行、重くはないがやたらかさばる。姫新線では「闇屋」というか「かつぎ屋」というか、見せられた風体ではない。
 秋晴れである。
 思ったほど寒くはなかった。
 ということで「田舎モード」に入る。
 肉体労働がけっこうあった。
 日暮がはやい。
 17時に閉門し、炊飯炊事。
 老母の夕食にあわせてビールを飲み、片づけ終了が19時である。
 老母は早々と入浴、志水辰夫の文庫を持ってベッドに入ってしまった。
 19:30にして、本日の業務終了、驚異的な早さである。
 外は暗く、テレビ番組はむろん見る気もしないものばかり。
 ということで、おれも横になって、待ちかねていた小林信彦『東京少年』(新潮社)をこれから読むことにする。

10月31日(月) 播州龍野の日常
 ボケーっと本を読む。
 小林信彦『東京少年』は前半が『冬の神話』と同じ舞台というだけで、テーマも文体もまったく異なる別作品であった。これは別項予定。
 天気不安定、寒くて鼻水が出、くしゃみ連発。
 夕刻、小泉内閣の組閣のニュースばかり。
 退屈しかけたところに、7時前の地方ニュースで、22日の人殺し、市役所臨時職員の岸根登美子(44歳)、やっと逮捕という。ひも的?な「元亭主」が凶器(ゴルフクラブ)隠蔽工作?……岸根は「容疑を否認している」という。
 事情聴取から1週間否認しつづけたわけで……その人物像、ゴルフクラブを振り回した挙動と重ねると、だいたい想像がつくぞ。
 動機がわからんけど。「ご近所」まで行けば、しゃべってくれるオバハンはいっぱいいるだろう。明日でも行ってみるか。

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