HORI AKIRA JALINET

『マッドサイエンティストの手帳』290

●マッドサイエンティスト日記(2003年11月後半)


主な事件
 ・滝川雅弘4月例ライブ(16日)
 ・クリント・ベーカーatマホガニーホール(22日)
 ・御堂筋ホコテン・ライブ(23日)
 ・グリーン交響楽団(24日)
 ・『桂歌之助』のPR開始(24日)
 ・雑見雑読の日々(26日〜)

2003年

11月16日(日)
 定刻4時に目が覚める。
 朝刊を読みながら、朝5時10分、「日本の話芸」で笑福亭鶴光の「寝床」を見る。コテコテであるなあ。朝から脂身の多いカツ丼を食べる気分。
 終日穴蔵。
 寝転がって本を読んでいたら、高橋尚子の「失速」シーンを見忘れてしまった。
 夜はテレビで『ダイヤルM』を観る。こんな酷いリメンク版もないなあ。前作もヒチコック作品の中では買わない方だけど、唯一の「救い」である警部が、今回は何もしない。したがって感情移入できる対象がゼロ、カタルシスなしという、不思議な娯楽映画である。

11月17日(月)
 穴蔵に籠もっていたいが、雑件重なり、朝から本町往復、阪急石橋往復。
 早足で歩いたのでヒザがガクガク。日頃散歩しないからであろう。
 午後はメール文書錯綜。
 が、何の成果もない1日である。嗚呼……。
 夜、専属料理人の作ったイカの塩からで焼酎湯割り。
 塩分ごく控え目にしたものでたいへん旨い。昔、金沢の小料理屋で出してもらったのが旨かったが、それ以来である……と珍しく誉める。やればできるじゃないか。

11月18日(火)
 終日穴蔵……のつもりが、そうもいかず、昼過ぎに中央郵便局まで。
 ついでにタワーズ、駅前ビルの中古CD店など。
 ジミー・スミスの「クリスマス・クッキン」1000円を発見、聴くとしても年末だけかなと迷う。で、はがくれでうどんを食べて、また寄ってみると売れたらしく見あたらない。この間、約30分。ふーん。こんなこともあるのか。
 夜、久しぶりにジャズ・ライブに行く。
 谷九の「SUB」で滝川雅弘カルテットの月例ライブ。今日は女性ドラム今井やすこさんで、恐ろしく手数が多くてパワフルなのに驚く。
 off
 八木隆幸さんが新CDを出したというので1枚購入。「COMVERSATION U」……オルガンの酒井潮さんとの共演盤である。なんとなくジャズ・オルガンに縁のある日だな。
 松竹の川合さんが来る。来年2月封切りの「進駐軍ジャズ映画」の話が出る。
 進駐軍の軍曹(テナー?)と日本のジャズメンたち(トランペッターでミッチが出ているらしい)の交流というから、これはハンプトン・ホースがモデルか。「All the Things you are」が効果的だという。それにちなんで、本日は、その映画挿入曲から「All the Things……」やA列車など。

11月19日(水)
 終日穴蔵……のつもりが、そうもいかず、朝から本町・小牟田氏の事務所へ。
 午後は穴蔵。
 藤原ヨウコウ氏から、おれ専用に作ってくれた「作品」が届く。混沌の中から何かが創成されようとしているようなイメージで、なぜかCDのジャケット大。素晴らしいので仕事場のミニコンポの横に飾る。家宝のひとつになるなあ。

11月20日(木)
 終日小雨である。
 こんな日は穴蔵に閉じこもっていたいが、そうもいかず、午後、あみだ池にある塩田さんのデザイン事務所へ。
 ここから粉浜の「みやもと印刷」往復。
 ここは米朝一門の若手が会のチラシを頼んでいるところ。……落語関係・ジャズ関係が贔屓にする店が安くて良心的ということは、別に飲み屋に限った話ではないのである。
 塩田氏の事務所に戻ってちょっと修正、西梅田の中央郵便局から速達で投函して、一連の「業務」終了である。

11月22日(土)
 午後2時、心斎橋のマホガニーホールへ。
 ODJCの特別コンサート。
 明日の御堂筋パレードなどのために来日しているクリント・ベーカーやジェフ・ブルたちを招いて内輪のコンサートである。
 明日の「御堂筋をホコテンにする」という企画は、当初、IAZZ CIYTY OSAKA 2003 に連動して、10月26日に行う予定だったという。ところが、この日にひっっとしたら日本シリーズで阪神が優勝するかもしれないと、御堂筋ホコテン計画が延期になったのだそうである。
 最初が、クリント・ベーカー・オールスターズ
 つづいてジェフ・ブル+サウスサイド+ラスカルズの混成バンド
 そして河合良一さんも入っての4クラ・セッション……ベーカー・オールスターズにはマルチ・プレイヤーが多くて、こんな編成も可能なのである。4クラで「古き十字架」など。
 off off
 最後はまたベーカー・バンドで17時半まで。
 ご一行は竹葉亭のあと、サントリー5に出演というスケジュール……元気だなあ。
 ちと雑用など残っているので、夜の部は失礼する。

11月23日(日)
 印刷所から『桂歌之助』のチラシが届く。
 off
 米朝一門関係の落語会などでPRするためである。
 25日の京都「かねよ寄席」からPR開始となるから、そろそろネットでも公開していいかな。
 歌之助師匠の「文章芸」の集成『桂歌之助 飲む前は律儀と遠慮の人なのに』、刊行は12月15日の予定である。
 昼、地下鉄で心斎橋へ。
 「御堂筋ふれあい空間」で13-16時、ミナミ一帯がホコテンになる。
 キタの方、本町あたりまでは女子駅伝もあるらしい。
 晴れたり曇ったり、少し寒い。
 13時〜周防町との交差点北東の特設ステージで、滝川雅弘カルテット。
 このステージ、ストッキングの看板の下にあるので妙に艶めかしい。
 「モーメント・ノーティス」「イースト・オブ・サン」「アイ・ガット・リズム」の3曲。
 off off
 ODDJの口羽夫妻やレッドビーンズの井上夫妻ら、知り合いもあちこちに。
 大道芸人がウロロウしていて、全体に、一眼レフを持った人が多いなあ。
 クリント・ベーカー・オールスターズの美人バンジョーと記念撮影。
 サウスサイド+ジェフ・ブルを聴いたあたりで、ちょっと悪寒。冬の到来を感じさせる「キンタマ収縮」現象を覚えて、早めの帰館にする。
 ビッグステップに田中啓文氏(ユナイテッド・ジャズ・オーケストラ)が出ているはずなのだが、本日は申し訳なくも断念。
 穴蔵に戻ったところへ、かんべむさし氏から電話。日曜だが「出勤」していたという。しばらくして来穴蔵。コタツに潜り込んでの雑談……なんだか年寄りの茶飲み話であるなあ。
 夜は溜まっていた本を読む。
 高木信哉氏の『ドクターJazz 内田修物語』が抜群に面白い。

11月24日(月)
 世間は3連休の最終日である。
 昼、専属料理人と出かける。
 地下鉄で谷九から、歩いて大阪国際交流センター・大ホールへ。ここは以前SF大会もあった会場。
 グリーン交響楽団の第15回定期演奏会。
 SFファン(茜倶楽部の会員)にして歌之助ファンでもある菊川素子さんが参加している社会人のオーケストラである。
 off
 今回の曲目は
 ・グノー 歌劇「ファウスト」よりバレエ音楽
  ヌピア人の踊り〜フリネの踊り
 ・チャイコフスキー 幻想序曲「ロメオとジュリエット」
 ・ブラームス 交響曲第3盤ヘ長調
 指揮は曽我大介氏
 ジャズばかりでなく、たまにはこういうのも聴くのであった。
 終演後、専属料理人は、上町七丁目にはアンティーク・ショップが数軒あるからと上町筋を南下していく。嗚呼……。またガラクタが増えそうな予感がして気が重くなる。
 わしゃ小雨の中、ひとり、白ワインを買って帰宅するのであった。
 夜……ワイン飲みながら「南極の皆既日食」番組を見る。極地の場合、衛星から雪原の本影を中継するのは無理なのかなあ。わしゃ宇宙から見た日食を見たいのだが。

11月25日(火)
 終日穴蔵。
 午後、北村維久子さんと桂歌々志さんが来穴蔵。
 チラシ、手製のポスター、束見本などを渡す。
 今日の京都「かねよ寄席」からいよいよ『桂歌之助』のPR開始である。
 入れ替わりで、学友・K田くん、来穴蔵。
 すぐ近所の会社に来たついでという。ちょっと辛い話と明るい話が混在。まあわれわれの年代は多かれ少なかれ、似たような話が多い。

11月26日(水)
 ネクタイの日である。
 朝から本町。久しぶりにラッシュの時間帯に地下鉄に乗る。が、心なしか、1年前に比べると空いている感じがするなあ。
 本町から歩いて南堀江。
 昼前から松竹の試写室で来年2月公開予定の「ジャズ映画」の試写を観る。
 の坂本順治『この世の外へ クラブ進駐軍』の試写を見る。
 これは松竹のHPでもPRが始まっている。
 ジャズ映画というよりは戦後の青春群像劇である。
 感想は別項『この世の外へ クラブ進駐軍』に。
 午後、穴蔵に戻る。
 連絡事項錯綜。明日早朝から動かねばならぬ。

12月27日(木)
 早朝の電車で播州龍野の実家へ向かう。
 朝早いのは平気なのだが、あまり早いと、姫路からの姫新線、某高校の「バカ女子高校生満載」の通学時間帯になり、これが困るのである。ともかくそのマナーの悪さ、気が狂いそうになる。「余部」はまだましなんっすよ。酷いのはもっと向こうの……新×行き。沿線の人ならよくわかってくださるであろう。
 発狂寸前、本竜野で下車。こんなのが始末に負えないオバハンになるのであろう。
 実家で旅支度を終えた老母と妹を、今度は駅まで見送る。
 横浜にいる「曾孫」の顔がみたいのと、女学校時代に修学旅行で行った箱根にもう一度行ってみたいという(60年ぶりくらいになるのか?)というので、妹が付き添っての出発である。現地では兄がクルマで案内するから、面倒なのは姫路で新幹線に乗るまで。
 バカ女子高生といっしょにならねばいいが。
 あとは実家で少しは仕事もするのであった。
 タイムマシン倉庫にも寄って、夕刻帰阪。
 本町、小牟田氏の事務所に寄って、12月22日に予定している「歌之助を偲ぶ忘年会」の打ち合わせ。
 あと、小牟田氏と堺筋本町地下の居酒屋で一杯。
 帰路、旭屋に寄る。嵐山光三郎『口笛の歌が聞こえる』と山本弘『神は沈黙せず』。『神は沈黙せず』はSFでなくサブカル系の棚に並んでいるのがおかしい。

11月28日(金)
 終日穴蔵。
 天気はいまひとつ。箱根方面の天候が気になる。
 あまり仕事はせすせ、雨読の日とする。

11月29日(土)
 雨降ったり止んだり。
 本日も雨読の日とする。
 上田早夕里さんの『火星ダーク・バラード』を読む。傑作である。
 午後、H2Uの打ち上げ失敗のニュース。
 あまりにも初歩的なトラブルという印象だが、宇宙作家クラブ・ニュース掲示板に刻々とアップされる松浦晋也氏のレポートをたどると、前から問題にされていた点でもあるようだ。
 夕刻、妹からメール。
 母と妹、無事に箱根方面から帰宅したという。

11月30日(日)
 5時のテレビ、イラクで昨夜(日本時間23時頃)日本人2名が殺されたニュースをやっている。ほれ見ろ、アメリカン・デモクラシーが「健全」なら、「進駐軍」諸君とイラクのジャズメンがセッションをやっとるはずなのだよ。
 「戦地」で起きるべきことが起きたってことだなあ。
 平和な日本の大阪では、なんの意味もない「市長選挙」。
 専属料理人がまたも「立会人」頼まれたとかで、朝6時半に、ケーキやコーヒーを入れたポットなど持って出ていく。
 午後8時までは戻ってこないのである。
 わあ嬉し。
 昼前に「元助役」でない何者かに投票するために投票所(豊崎小学校)へ。
 そのあと自転車で青空書房へ歌コのチラシを届ける。
 坂本さんと30分ほど雑談。
 専属料理人のいない休日、ボンクラ息子その2と晩酌でもと思ったら、遊びに行くと午後7時に出ていってしまうのであった。
 ひとり気楽に湯割りを飲みながら尾田悟を聴くのであった。


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