『マッドサイエンティストの手帳』777

●マッドサイエンティスト日記(2022年4月前半)


主な事件
 ・創作サポートセンター(2日)
 ・播州龍野いたりきたり
 ・JAZZ@DEAR LORD(10日)


4月1日(金) 穴蔵/花見
 曇天だったが、8時過ぎから急速に晴れた。
 昼前に出て、ひとり、花見に行く。
 豊崎西公園〜豊崎東公園〜本庄公園を歩く。いずれも満開。風が強いが、花吹雪にはならず。
 長柄橋から淀川堤に出て、毛馬閘門へ。
  *  *
 毎年見る堤の桜だけは開花が少し遅く、7分咲きか。
 毛馬閘門を東に渡り、蕪村の碑を見て、毛馬橋東へ。
 ちょうどバスが来たので、大川沿いの桜見物は(たぶん人出も多いだろうから)やめて、豊崎に戻る。
 昼前に帰館。1時間半ほどの散歩。約5000歩。
 午後は穴蔵にこもる。
 BSで『ワーロック』をやってたので、60年ぶりに見る。
 当時(1959)は西部劇ベスト10に入るなどと興奮したものだが、今見ると、決闘シーンのいくつがちょっと面白い程度(黄金の拳銃が珍しかった)で、女を巡るいざこざが煩わしい。名優3人が揃ったわりには、つまらん作品であった。
 西部劇は善悪を明確にして派手にドンパチやるのがいいのである……などといいつつ『ワイルドバンチ』を観た今となっては、まるで意味なしだな。
 何がいいたいか……わたくしは『ワイルドバンチ』を超える西部劇が観たいのである。

4月2日(土) 創作サポートセンター
 晴れてはいるが黄砂がかかったような、すっきりしない空。花曇りか。
 午後に出て、地下鉄で谷町方向に向かうが、せっかくだらか南森町で降りて、繁盛亭あたりを散歩、商店街を南に抜け、天満橋方向へ。
 大川沿いの南天満公園はえげつない人出である。花見は本日がピークなのであろう。
  *
 八軒家浜を発着する花見船多し。「百年目」の次兵衛はんが乗っていそうな。
 人混みは避けて、谷町筋をCANVAS谷町へ。
 夕刻から創サポの講義。少人数+リモート参加で、提出作品4篇を中心に行う。
・父が死に、母が男をつくって出て行ったため、父を継いでひとり貸本屋を営む娘りくは、ある時行李の底から「開けるべからず」と書かれた奇妙な本を発見する。洋風ファンタジーを江戸に移しかえたような奇譚。
・心筋梗塞で緊急搬送された男は、幽体離脱して、不気味な地底世界に入り込む。現代版クトゥルー神話を狙った作品。
・明治初めの寒村。猟師のまねごとをして雪の山中に入り込んだ少年は雪崩にあい、不思議な里で助けられる。目が見えず、周囲にはこの世のものならぬ気配が……これも時代ファンタジー。
・半世紀前の天神橋筋商店街を舞台とするSF……これは昨年6月に提出された作品の改稿版。格段に面白くなっている(講座の前に天満宮あたりを歩いてきたのは現場確認のためである)。
 作品はそれぞれ面白いが、作者の意図の微妙なところを確認するには、やはり対面の方がいいな。

4月3日(日) 穴蔵
 曇天、小雨が断続的に降る。春雨である。
 濡れて行くところもなし、終日穴蔵。
 生産的な仕事は何もできず。
 一杯飲んで早寝させていただく。

4月4日(月) 大阪←→播州龍野
 快晴である。
 通勤ラッシュの終わった頃の電車で播州龍野へ移動する。
 別荘解体の予備作業。
 相棒の某くんと現地で合流、某工務店の担当者にも来てもらって打合せ。
 電気・ガス・水道・電話 など事前の処理事項多し。4月は煩わしい月となりそうな。
 実家にも寄る。
 近くの堀家住宅……長屋門前の桜が満開である。
  *
 龍野公園も桜の名所とされているが、やはりこの桜がいちばんいい。
 人はほとんど来ないし、ゴザ敷いてビールでも飲みたいが、ウチの庭ではないからなあ。
 ごちゃごちゃ雑事片づけ、夕刻の電車で帰阪となる。
・宮崎学氏の訃報。76歳で「老衰」というのは実感がわかない。

4月5日(火) 穴蔵
 快晴である。
 体調良好だが出歩く気分にならず、精神的には不調である。
 生産的なことは何もできず。原因はプーチンにあり、だろうな。
 終日穴蔵。
 たちまち夕刻。
 専属料理人が昼間から大豆を蒸していたが、多くは冷凍保存用らしい。
 夜、色々な形で大豆が入ったメニューが並んだ。
  *
 空豆、ヤッコ、蛸マリネ、鶏のワイン煮(ややこしい名があるらしい)、サラダなどでビール、ワイン。
 お楽しみはこれだけだ。

4月6日(水) 穴蔵
 快晴である。
 体調良好、精神絶不調(プーチン死すべし)。
 穴蔵にて巣ごもり……のつもりだったが、昼、専属料理人のポーターとして天八のスーパーへ。
 重量物(液体1800ml+720ml、容器など入れて約3kg)を持ち帰る。
 まあいい運動になった。
 たちまち夕刻。5皿ばかり並べてもらって、昼間運んだ重量物を少しばかり。
 お楽しみはこれだけだ。
・生活圏の殺人。
 弁当屋(ほっかほっか亭)のアルバイト(31歳のベトナム人女性)を、店の2階に住む山口利家(59)が絞殺。
 強盗殺人・死体遺棄容疑で逮捕。
 現場は淀川区三津屋中。
 ……ここは済生会病院前からバスで行ける場所で、JR関係の某施設が近い場所、前から行ってみたいと思っていたところである。
 近日探検に行ってみよう。

4月7日(木) 穴蔵
 晴れた日がつづく。5月の陽気……夏が近く、夏が来れば秋遠からず、するとすぐ冬で、間もなく寒い冬かと思うと気が滅入る。
 昼前、区役所に用事ができて、久しぶりに自転車で出かける。
 扇町公園を通過。
  *
 松尾留与(稲美町の甥っ子放火殺人犯)の座っていたベンチの背後で落花盛んである。
 宮本浩志と森本恭平はどうしとるのか。新たに山口利家が加わった。
 逮捕のあと報道が途絶えてしまうのは寂しい限りだ。
 区役所から延原倉庫の横を抜け、大川右岸まで出て、毛馬橋まで桜吹雪の中を走り、城北公園通を帰館する。
 午後は穴蔵。
 播州龍野の別荘解体がらみで電話やメール色々。
 電気と電話の工事の日程調整がややこしい。
 連休明けまでかかりそうな。

4月8日(金) 穴蔵
 晴れた日がつづく。ちょっと飽きてきたな。
 終日穴蔵。
 憂鬱な時期が来た。固定資産税の季節である。
 大阪市から納付書がきた。嗚呼。むろん市民の義務は果たしまっせ。
 播州龍野からは某不動産から課税台帳のコピーが送られてきた。嗚呼。負の遺産いかんせん。
 その上、別荘解体に関して連絡などゴタゴタ。これも来年の税額にからんでくるなあ。
 気が重いことがつづく。生きているうちに片づけておかねば。
 たいしたこと出来ぬまま夕刻となる。
 5皿ばかり(写真は略)並べてもらってビール、ワイン。
 お楽しみはこれだけだ。

4月9日(土) 穴蔵
 まだ晴れた日がつづく。
 結構なことだが、本日は土曜で、梅田は人出が多いだろう。
 終日穴蔵にこもる。
 少しは体を動かさねばならず、午後、近所の公園まで散歩。
  *
 3日ほどの間に、桜から急速に新緑に入れ替わっている。
 もうダウンはいらないであろう。
 播州龍野の解体関係、夕刻、ほぼ予定が固まった。
 4月後半の半分ほどは龍野暮らしになりそうな。また楽しからずや。

4月10日(日) ジャズの日
 晴。ほとんど夏である。
 午後、片町線で放出へ。
 久しぶりにディア・ロード大阪JAZZ同好会
 人数制限、マスク着用、換気徹底で行う。
・Uさんによるポール・ブレイの特集。まとめて聴く機会は今までなかった。フリーだが「耽美的でリリシズムを湛えた個性」とは、なるほどと思う。時間がないので略されたが「キャラバン組曲」はぜひ聴いてみたい。
・Fさんによる新譜紹介。岸ミツアキの新譜が「還暦記念」とは……。
・持ち寄り企画は、珍しくも「ニューオリンズ、デキシー・スタイル」。そのためODJC会員が5人も揃う事態となった。わたくしの持参はむろんジョージ・ルイス。晩年(といっても、もうこちらが10歳以上年寄りになっている)の「PLAYS HYMNS」から1曲。ま、わが生前葬を兼ねたようなものである。
 夕刻帰館。
 夜はBSの放送大学で、松原隆一郎教授の特別講座『日本人にとってジャズとは何か』を視聴する。
 2週にわたって行われる講義。
 本日は、 山下洋輔論文「ブルー・ノート研究」と初期山下洋輔トリオのフリージャズ
 来週は、初期山下洋輔トリオのフリージャズはいかに世界とシンクロしたか
 ともに72〜75年当時の山下トリオ(坂田明、森山威男)がゲスト出演。演奏も行われる、貴重な記録である。
 今日の講座は、山下トリオ独特のスイング感を解明するもので、松原教授の4年ほど前の研究「スイングの核心」の拡張版ともいえるが、何よりもトリオを再現させたことが凄い。「ぐがん」と「ミナのセカンドテーマ」が演奏された。
 いい日であった。

4月11日(月) 穴蔵
 晴。ほぼ夏である。靴下をはかなくて済むのがありがたい。
 パジャマのまま終日穴蔵で過ごす。
 生産的な仕事は何もできず。毎度のことである。
 夜……某SF関係のzoom会議。
 少し先だが、また面白い企画が動き出しそうな。
 がんばって生きておらねばならぬ。

4月12日(火) 穴蔵
 晴。午前10時の室温24℃、ベランダ25℃。いい季節になった。
 冬物(洗濯もの)を部屋の隅に積み上げるが、洗濯は少し先になろう。花粉のピークがまだ過ぎていないからなあ。
 終日穴蔵。
 …のつもりだったが、少しは歩かねばならぬ。
 南東の近距離コース。
 A先生研究所の前を通り、JR高架をくぐって、南浜墓地で墓見して、豊崎長屋の土の道を抜ける。
  *
 主屋(登録有形文化財)の新緑が鮮やかである。
 わたくしも播州龍野の実家座敷で2,3日寝転んでいたくなるが、この天気がいつまでつづくか。
 来週が雨だと悲劇だな。
 タカセ市場のほんみねで果物を数種類購入して帰館する。
 たちまち夕刻。
 専属料理人に5皿ばかり並べてもらってビール、ワイン。
 お楽しみはこれだけだ。

4月13日(水) 穴蔵
 薄曇。午前10時の室温24℃、ベランダ26℃。部屋にいる限り快適である。
 終日穴蔵。
 某資料を読みメモを取ったり、某企画の調べごとをしたり、まあまあ有意義な時間を過ごす。
 たちまち夕刻となる。
 本日の大阪のコロナ感染者5,121人、東京8,253人。明らかに増加モードに入った。
 どうなろうと、わたくしはこの2年間の生活態度を変えるつもりはないが、来週以降の播州龍野への電車移動が憂鬱だ。
 夜は専属料理人が肉じゃが、山かけ、サラダなど、わりと普通のメニューを並べた。
  *
 このくらいの量と質で一杯飲るのがいちばんいい。
 早寝させていただく。

4月14日(木) 穴蔵
 朝だ。久しぶりに浅田飴だが、6時頃にはやみ、あとは薄曇。
 穴蔵にてボチボチ仕事。
 アタマの状態は少し回復してきたような気がする。
 カラダの状態が不安になる。やはり歩かねばならぬ。
 午後、北西方向(許永中の生家方向)を散歩。
 桜が終ると、急に周辺に花が増えたような。
 花水木やツツジが咲きはじめ、公園にも雑多な花が目につく。
  *
 富島神社の隅にもチューリップが咲くのであった。
 わたくしも花に癒される年齢になってしまったのだなあ。嗚呼。

4月15日(金) 神戸
 思うところあって神戸へ行く。
・午前10時頃に出て、阪神沿線の灘五郷の西端あたりをうろうろ。
 酒造会社の取材ではなく、この1年間に起きた事件の現場見物みたいなものである。
 甲子園あたりにも興味ある場所があるのだが、後日にする。
・昼、三宮に行き、昼はセンタープラザの吉兵衛でカツ丼。久しぶりである。
・午後、某会館の会議室へ。
 新たに発足した文芸サークルにゲスト参加する。
 世話人というか事務局がSF系のIさんだが、SF限定ではなく、エッセイ、ポルノ、映画、演劇、テレビまで、何でも自由に議論する形式。
 ただし、日常の話題になると、なんとなく「阪神間SF」の雰囲気になるような気がする。
 まだ会の名称も決まっていないが、次回から正規参加させていただこうと思う。
 阪神間SFや、阪神間に居住していた犯罪者の「取材」にも役立ちそうである。
 夕刻帰宅。
 専属料理人に四皿ばかり並べてもらって一杯。
  *
 平目のワイン煮? アクアパッツアとは少し違うらしい。これで白ワイン。パンですくい取って完食。
 お楽しみはこれだけだ。


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