『マッドサイエンティストの手帳』551

●マッドサイエンティスト日記(2013年3月後半)


主な事件
 ・山陽道を西へ(15日〜)
 ・大阪←→播州龍野いたりきたり
 ・手塚治虫記念館(23日)
 ・OCAT JAZZ FESTIVAL(31日)


3月16日(土) 下関/博多
 午前中、下関をウロウロ。
 「海峡ゆめタワー」に登ってみたが、これはいかん。
 展望窓が黄砂?で汚れていて、曇ガラス状態である。なんとかならんのか。
 下に「巌流島」が見えるが、その小ささと陸との近さに愕然。こんな場所に「遅刻」とは、武蔵め、卑怯な戦法だぜ。
 海岸沿いに歩いて唐戸市場へ。
 鮮魚や海産物以外に、海鮮丼やふく汁、握り寿司などを売る店がひしめき、観光客はここで買って、場内のテーブルや海岸で関門橋を眺めつつ食べている。
  * 
 早めの昼食。ウニ丼とふく汁をいただく。
 博多へ移動する。
 天神に近い場所にチェックイン。
 夕刻、佐賀在住のダニエル・ハドルストンさんと会う。
 「VIRUS -- The Day of Resurrection」(「復活の日」)の訳者である。
 今回の主目的はハドルストンさんと会うことであった。
 2時間ほどインタビュー。
 記事は小松左京マガジンに書く予定なので、ここでは写真も話の内容も掲載せず。
 好漢であった。
 夜、20年ぶりに、春吉の「なかむら」でもつ鍋……のつもりだったが、土曜夜ということで予約でいっぱい。嗚呼。
 ダニエルも残念がる。
 博多駅が「新装オープン」したというので、「博多CITY」へ行ってみる。
 が、阪急デパートや東急ハンズが入り、近くにヨドバシと「小型の大阪ステーションシティ」である。
 姫路駅もそうな風になりそうだし、JRの主要駅はどことも似たようなことになりそうな。
 上層階のレストラン街の隅にある居酒屋で、水炊きで一杯(ダニエルはウーロン茶)。SFのことをあれこれしゃべる。

3月17日(日) 山陽道を東へ
 朝、博多を出て、10時前に秋吉台へ。
 一度来てみたかった場所である。
  *
 行ってみたら意外に狭い場所で、しかも俗化していて幻滅という例は多いが、ここは凄い。
 2時間近くウロウロ。
 あとは、特に寄り道せず、夕刻播州龍野に着き、夜帰阪。
 3日間の走行距離は1000qを超えた。
 経費を集計すると、新幹線で往復するより少し安いようである。
 今度は北陸を目指すか。

3月18日(月) 穴蔵
 午前6時に起床。
 終日穴蔵……というわけにもいかず、午前、某院で半定期検査。自覚症状はないままクスリだけは貰う。
 まあ、しばらくは様子見とするか。
 午後は穴蔵にこもる。
 テープ(IC?)起こしをちょっとやるが、昨日までの疲労もあって、2時間ほど午睡。
 夜は専属料理人が上品なサラダなど並べる。
 
 あと、博多で買ってきた辛子明太子のパスタ。
 安ワインをいただく。
 早寝するのである。

3月19日(火) 穴蔵/ウロウロ
 わ、朝6時まで寝てしまった。
 疲労回復。
 はりきって雑事に励むのである。
 天気がいいので、昼休みを挟んで2時間ほど梅田ウロウロ。ついでに4月6日上京の手配も済ませる。
 午後も穴蔵。
 夕刻、シャワーで花粉を洗い流し、専属料理人が並べた、空豆、湯豆腐、豚肉とモヤシの炒めたの、サラダなど、ありきたりのメニューでビール。
 あ、明日(3月20日)19:30〜NHK「にっぽん紀行」は、青空書房・坂本健一さんの「89歳のラブレター〜大阪・天五中崎通商店街〜」だ。
 見逃さないように、早寝するのである。

3月20日(水) 穴蔵
 曇天なり。
 終日穴蔵。
 世間は春分の日で休日だから、仕事はせず、ボケーーーーツと過ごす。
 夕刻に近い午後には雨となった。
 本日、釜ヶ崎の難波屋で滝川さんのライブがあるが、出るのが面倒になる。
 夜は専属料理人が並べた野菜天、大根の葉っぱの煮たの(森川弘子さんもよく作る)、肝煮、明太子などで、某方面から頂戴した「山廃純米酒 飛良泉」をいただく。
 
 たまらんなあ。
 19:30〜NHK「にっぽん紀行」の「89歳のラブレター〜大阪・天五中崎通商店街〜」を見ながら。
 坂本健一さん、米朝師匠より1歳年上。頭脳明晰、文章も絵もうまい。
 2、3日中に寄ることにしよう。

3月21日(木) 穴蔵/ウロウロ
 定刻午前4時に起きる。
 穴蔵にて、少しは仕事もするのであった。
 本日は快晴である。黄砂とPM2.5は少ない。
 運動不足なので、昼休みをはさんで2時間ほど散歩する。
 3月16日に役目を終えた梅田貨物駅の周辺を歩く。
 済生会病院〜中津側〜西側〜地下道〜大阪駅。
  *  *
 コンテナーが所々に放置してある程度で、車両はまったく見当たらない。
 当分(10年くらい)は……つまり、おれの生きている間はこのままなのであろう。
 このあたりから始まる物語をそろそろ書き始めなければ。
 来月オープンの「グランフロント大阪」周辺、なぜかテレビカメラを構えたクルーが多い。内覧会でもやってるのか。
 14時前に穴蔵に戻る。
 ニュースによれば、公示地価が発表された。
 大阪の商業地最高価格は「うめきた」で、グランフロント大阪が847万円/uという。
 テレビうろうろはその取材であったのか。
 本日は約9000歩。

3月22日(金) 穴蔵
 ちょっと寝坊して、朝5時過ぎに起きる。
 朝のニュース。
 「兵庫県たつの市で平成6年に教師に殴られて自殺した小学6年の男児について、「事故死」と言い張っていたたつの市教育委員会が「体罰による自殺」と認めて両親に謝罪し、文部科学省にも訂正の報告をした」という。
 殺人教師に殺されて19年後にやっと……である。
 故郷の恥さらし。
 内海平くんが殺された事件は(うちのボンクラ息子のひとりと同年であったから)よく覚えている。
 苅尾昌典(教育長という高額税金泥棒/片目がおかしいのか?)の記者会見もひどいものだが、今になって認めて謝罪というのが立派とも思えない。
 殺人教師は事件当時、41、2歳だったはずである。
 定年まで待ってやったとしか思えないのである。
 内海千春氏はこんなことをはっきりとはいいにくいだろう。
 おれがかわりに言うことにする。
 龍野の教育委員会、1965年頃にツネキという悪徳教師を務所にぶちこんだ気概を失ってしまったのか。(←この事件については、当時の記事を調べ直して見るつもり。おれも被害者だからなあ。)
 苅尾昌典がツネキの同類とは思いたくないが。
 播州龍野は「教育市」であったはずだが、情けない限り。
 終日、気が重い。
 あまり生産的な仕事はできず、散歩にも出ず、ボケーーーーッと過ごす。
 0歩。
 明日は宝塚で少しは楽しいことがありそうな。

3月23日(土) 手塚治虫記念館
 曇天なり。
 昼前に出て、阪急で宝塚へ。
 本日から「SUICA」や「ICOCA」などIC乗車カードが全国で共用できるようになった……らしい。
 阪急でSUICAを使ったら、ちゃんと改札を通れた。たいしたものだ。
 今まで東京用にSUICAのチャージカードを持ってたが、これを使い切って、ICOCAに一本化することにしよう。
 13時過ぎに宝塚、手塚治虫記念館へ。
 日本SF作家クラブ50周年の特別展開催中で、本日は梶尾真治さんのトークショーあり。
 14時、カジシン登場。
 聞き手は「ここから徒歩10分」に在住の(つまり手塚さんの生誕地にいちばん近い作家)田中啓文さん。
 カジシン、「手塚体験」「手塚影響」を熱っぽく語る。カジシンはおれより3歳若いが、早熟だから、小学校に上がる前から手塚作品を読んでいたという。(おれは「アトム大使」から。カジシンはさらに早い)
 手塚さん追っかけをやって、長編『未踏惑星キーラーゴ』の表紙を手塚さんに描いてもらうまでの件りもすごい。
  *
 なんと原画をカジシンが所有……展示のために探したのが見当たらず、なんと一昨日発見できたので持ってきた!
 明日からは展示されるのである。
 会場には中野晴行さんや増田まもるさんも。
 カジシン、別件があって(「時間とれるなら堀さんには前もって連絡するとですよ」)そそくさと去る。
 オキシタケヒコさんといっしょに阪急で帰る。
 車中、SF作法について色々しゃべっていたら話し足りなくなり、十三で下車、「やまもと」でネギ焼き・ビールやりつつ、あれこれ議論する。
 オキシさんは脚本、ゲーム台本の経験があって、そちらの方法論も刺激的である。
 こうした議論は「書かなきゃいかんなあ」という気分になるところがいいのである。
 あと、十三商店街の「丹波」できさらぎ漬けを買って帰る。(オキシさんも「漬物には目がない」タイプなのであった。うれしいね。)
 
 ということで、夜は「きさらぎ漬」で「山廃純米酒 飛良泉」をちびちび。グラッペリ師匠を聴きつつ。
 たまらんなあ。
 机に向かうのは明日からである。書かなきゃいかんなあ。

3月24日(日) 穴蔵
 暖。
 終日穴蔵。
 心を入れ替えて、終日机に向かう……つもりであったが、資料を読み出したら、だらしなく寝そべって、少し読んだら目が疲れて仮眠、これではいかんとまた起きて、の繰り返し。
 まあ、それでも、少しは仕事もしているのである。
 昼休みを挟んで1時間半ほど梅田を4000歩ほど散歩。
 午後も穴蔵。
 19時過ぎから、専属料理人が並べたヤッコ、白身魚のムニエル、野菜系色々などでちょっと一杯。
 早寝するのである。
 しばらくはこのパターンを続けたいものである。

3月25日(月) ウロウロ/穴蔵
 所用あって、午前7時半に出て、歩いて梅田へ。
 寒の戻り。
 
 豊崎西公園、毎年1本だけ早や咲きの桜があって、これだけが満開に近い。
 午前8時前というのに、花見の場所取りをやってるのがいる。
 月曜で、寒いのに、花見やるのか?
 某所にて、色々手間取る。
 昼までかかってしまった。
 昼は「たかはた」できつね。
 13時前に穴蔵に戻る。
 ちょっと心を入れ替えねばならぬ気分になり、午後は机に向かう。
 4月5月は諸々の課題を整理する期間になりそうな。

3月26日(火) 穴蔵/ウロウロ
 花冷え。
 朝からおとなしく机に向かう。
 昼前に赤バスで天五の北区役所へ向かう。
 赤バスはガラガラである。3月末で廃止、乗り納めであろう。テレビでは不満を訴える「お年寄り」がフレームアップされるが、こんな無駄なもの、廃止は当然だぜ。
 おれも「お年寄り」だけど、もったいないから乗ってるだけだからな。
 区役所にて某手続き。
 おれが低所得者であることを実感する。
 昼は「玉一」に表敬訪問、ビビンバなど。
 天五〜中崎町の路地をウロウロしつつ帰館。
  *
 ↑こういう昭和の雰囲気がたまらんねえ。
 午後も穴蔵にて書類作り。
 夜は専属料理人が並べた、白身ソテー、サラダなどでビール。
 
 ↑春パスタ(新キャベツ、空豆、アスパラなど野菜ばっか)で安ワインを少しばかり。
 早寝するのである。

3月27日(水) 穴蔵
 薄曇りである。
 朝からまじめに机に向かう。
 昼前にひと区切り。送稿。
 午後は資料を読む。
 15時過ぎに散歩に出たら雨が降り始めたので、コンビニに寄っただけで、すぐ引き返す。
 また穴蔵にて資料を読む。
 夕刻シャワー。
 あと、専属料理人が並べた韓国風焼肉、チヂミでビールを飲む。
 明日は早朝から動くので、21時目途に早寝するのである。
 本日は315歩。
 歩行数以外、毎日こうありたいものである。

3月28日(木) 大阪←→播州龍野
 定刻午前4時起床。
 午前5時に出る。歩いて大阪駅へ。
 播州龍野へ行くのに(在来線で)いちばん早いダイヤを試みる。
 JR大阪駅5:24各駅停車・加古川行き→西明石で播州赤穂行き始発に乗り換え→姫路に7:15着、姫新線7:20→本竜野7:42着、実家に7:57に着く。
 これは某アホ高校が春休みだから乗れるのであって、通学時にこれに乗ると姫新線は地獄なのである。
 午前8時の龍野書斎、室温9℃である。
 まあ快適な季節になった。
 しばらく来ないうちに、色々な花がいっせいに開花している。
  *  *
 おれにふさわしいボケ。塀の外には今年も白木蓮が満開である。
 梅、釣鐘草、水仙、その他十種類くらい。
 桜は3分咲き程度で、大阪より1週間ほど遅いようである。
 次に来るときは散っているだろう。
 むなしいものだ。
 タイムマシン関係、役所関係、金融機関関係、その他、雑事色々。
 だいたい片づいたところで、夕刻に近い午後の電車で帰阪する。
 専属料理人が並べた、ヤッコ、肉じゃが、その他ありきたりのメニューで一杯。
 ともかく疲れた。
 枕頭に色々積み上げて読みながら、眠くなったら眠るのである。

3月29日(金) 穴蔵
 終日穴蔵。
 資料を読んで過ごす。
 「資料」というのは、明日の「講義」のためで、創作サポートセンターの提出作品のこと。
 一編、注目に値する力作長編あり、ちょっと「化ける」可能性のある書き手なので、こちらも慎重に構えて読まねばならぬ。
 ノンSFなので、「おれならこうする」というアドバイスはできず、編集的校閲的な読み方になってしまうが。
 ……この作品に限らず、最近はスマホやタブレット端末が重要な役割を果たすのが多く、その設定や描写が適切なのかどうか、判断できないことが多い。
 「殺人や犯罪でなければ体験取材してみるべき」(もっとも、これは、食べ物とか街の風景とか職場の描写について話すことなのだが)という日頃のわが主張からすれば、これは困るねえ。
 ぶんきちくんまでスマホ導入しているから、ちょっと焦る。
 昼休みを挟んで梅田往復、1時間半。
 豊崎西公園の桜が満開である。
  *
 早くも陣取りが始まっていて、今夜は花見宴会が多そうな。
 本日はPM2.5急増で、人ごとながら心配になる。

3月30日(土) 穴蔵/天満/創サポ
 穴蔵にて粛々と雑事を処理する。
 午後、地下鉄で天満へ。
 天満橋から北へ……せっかくだから泉布観を見学に行くつもりだったが、長い行列らしいことがわかり、途中で引き返す。
 大川沿いだから、花見を兼ねてという人は多いはず。
 なぜ3日間しか公開しないのか。市民の寄付金で改修したのだろう。金融緩和より造幣局の門を緩和すべきだぜ……と、おれは東日本大震災の復興を優先して、泉布観へは寄付してないから、偉そうなこといえる立場じゃないけど。
 大川沿いを30分ほど散歩。
 桜は9分咲き? 満開には至らずだが、天気予報によれば、本日が最高の花見日和らしい。
  *
 花見客多し。八軒家浜からは10分おきに物見舟が出ている。
 18時からエルおおさかで創サポの講義。
 提出作品3篇を題材に行う。
・ある時代短編を女性視点から再構築した(と作者が明かす)人情話。
・35歳の元グラドルの前に「未来からきた孫」と称する少年が出現するSF短編。(あるノンSFコンテストでかなりの線まで残ったという)
・大阪の冴えない行政書士が事件に巻き込まれ、舞台が中央アジアにまで拡大する長編国際謀略小説。(キャラクター、デティルともに秀逸)
 いずれも秀作、意欲作で、20分ほど超過してしまった。

3月31日(日) OCAT JAZZ FESTIVAL
 穴蔵にて粛々と雑事。
 昼前に出て、地下鉄で難波へ。
 日本橋をウロウロ。
 午後、JRなんばへ。
 OCATの地下広場(吹き抜け、半分野外である)で「OCAT JAZZ FESTIVAL」、2日目開催中である。
 15時過ぎから、鍋島直昶クインテット、滝川雅弘カルテットを聴く。
 鍋島さん、米朝師匠のひとつ年下という年齢だが、リリカルにしてモダンな感覚。お元気だなあ。
  *
 滝川カルテットは相変わらずの快演。やっぱりいいなあ。
 最後の唐口さんや宮さん参加の「オールスターズ」も聴きたかったが、寒い。キンタマ収縮である。
 2ステージ聴いて帰館することに。
 ということで、帰館後、久しぶりに入浴する。やっとキンタマがほぐれてきた。
 専属料理人、ハムサラダ、イカのなんとか風炒め、ミニカレーなど並べる。
 OCAT4階の輸入酒店「やまや」で、エイヤで買ってきた980円のボルドーをいただく。
 いけますなあ。
 ということで、そろそろ就眠準備。
 21時過ぎ、枕頭に本を積み上げで、眠くなったら眠るのである。
 無為に過ごした3月が終わる。嗚呼。


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