HORI AKIRA JALINET

『マッドサイエンティストの手帳』86

●マッドサイエンティスト日記(1998年11月前半)

主な事件
 ・「かがやけ関西! 特別セミナー」
 ・「歌之助百話」

1998年

11月1日(日)
 世間は休みなれどボンクラ・サラリーマンとしては、日頃の無能ぶりの埋め合わせのため北摂の事業所へ。部品数のチェック。ここは「下界」よりも2度ほど気温が低く、体が冷える。

11月2日(月)
 世間では「連休」が結構多いようであるが、ボンクラ・サラリーマンとしてはお休みなど申し出ると、吉本流「ずっと休んだらええがな」になりそうで、ひたすら電話番をつとめる。同僚数名が「長野行き」のため、留守番役が必要なのである。……この時期に仕事で中央線・長野方面というのもつらいであろう。

11月3日(火)
 自転車で会社へ。晴れていて気分はいい。文化の日なれど関連会社操業のため出勤。……不穏な気配(以下40行省略)であるなあ。

11月4日(水)
 休日明けは胃に悪いことが多いというのがここ数ヶ月の傾向であるが、出勤した祭日の翌日も例外ではないようだ。胃痛の原因を作るのは休日に休息をとった側にあるらしい。なんとなれば、日頃「あぐら」をかいている奴に限って休日にごろんとしてよからぬことを考えて十分に休養をとった翌朝出社するなり(以下省略)。

11月5日(木)
 夕方、“エレベーターが横に動くような”ニュートラムに乗って、南港のハイアット・リージェンシーへ。
 サンケイ主催の「かがやけ関西! 特別フォーラム」を聞きに行く。
 高田公理氏の司会で色々。高田さん、半分以上しゅべっている感じ。パネラーが3分しゃべると、それを15秒で「要約」し、つぎのパネラーの得意分野に関連づけて渡すアクロバットはたいしたものである。
 高田さんとぼくは同年。一度、「公理・定理の幾何学漫才」というのをやろうかと提案したことがある。
 「キミ、最近、平行直線を交わらしたんやてな」
 「そんなこと誰がユークリッド」
 ……受けそうにないなあ。

 off off

 その後、懇親パーティ。結構豪華である。白ワインを結構いただく。「テルミン」という「電子楽器第一号」をはじめて見て聴いた。アンテナと手の距離で音階(右手)と音量(左手)を調節する。音はノコギリ・バイオリンに似ている。

11月6日(金)
 ボンクラ・サラリーマンの日。
 夕方、北浜、アイル・モレ・コタで「歌之助百噺」。  おなじみの顔ぶれ、桂歌々志、桂出丸、桂歌之助。
 off off off
 歌々志くん、典型的前座噺「子ほめ」を演る。入門1年半で初めて聴く。それまで「米揚げ笊」など、ちょっと進んだネタが多かったから、かえって意外。新しいギャグをふたつほど入れているあたり、さすがである。

11月7日(土)
 関係会社操業につき出社。世間は休みが多く、ほとんとほ電話もFAXもなし。古い書類を大量整理。そのうち「人間」もこうなるぞ。
 夕方、かんべむさし氏の仕事場に寄り2時間ほど雑談。
 かんべさんが書いた、米朝一門が登場する「泡噺とことん笑都」について、米朝師匠から丁重な手紙が届いたという。これはまことに結構なことだが、その中で、「堀さんが最近お見えになりませんが……」と気にされている一行があったという。複雑な気持ちである。ぼくは米朝師匠をはじめ一門の皆さんの会にはよく顔を出しているのである。ただ、楽屋へ挨拶に行くのを遠慮しているのである。理由は「女性しか弟子にしないことで有名な落語作家の顔を見るのが鬱陶しい」に尽きるのであるが……。ただ、一ファンに過ぎぬぼくのことまで気にかけていて下さるとは。
 「米朝ホームページ」を作って下さいと田中(桂米朝事務所)社長には何度かお願いしているのだが、なかなか進まないなあ。

11月8日(日)
 終日書斎。

11月9日(月)
 休日明けは胃が痛いの法則どおりの日である。
 夜、もとタイムパトロールの大迫公成氏と川崎綾子さんとミナミで会う。ブリティッシュ・ビールの店からタイ料理の店。タイ料理の「店長」は日本語がダメで英語が達者、大迫・川崎両氏も同様で、なんだか英会話レストランの雰囲気である。
 大迫さんの関わっている「クンタクト・ジャパン」今年は11月21〜23日の3連休で、ポール・アンダースン来日。ぼくも参加申し込みしているのだが、昼間の会社の情勢から「暗雲」が立ちこめていて、行けない可能性が高い。その場合に備えてサイン用の本だけは用意して大迫さんに預けておくことにする。

11月10日(火)
 午後、ひさしぶりにJR近江八幡から近江鉄道で八日市の研究所へ。
 近江八幡の琵琶湖側を一度歩いてみたいのだが、なかなか機会がない。

11月11日(水)
 ボンクラ・サラリーマンの日。
 夜、近々来る「難民生活」に備えて、本を整理、処分。
 一生読む可能性のない本がずいぶんあり、見切りをつける。

11月12日(木)
 週刊文春が管直人の「愛人」すっぱ抜き。面白いスクープだが、興味を覚えるのは、この「愛人」が法政で五十嵐敬喜のゼミに出入りしていたという記述。学生の立場でではないらしい。この五十嵐敬喜という「抜け目のなさそうな目つきの土建屋面」元弁護士、法律家というよりも政治家みたいな雰囲気を感じていたのだが、何か政治がらみの動きでもしているのであろうか。気になるところだ。

11月13日(金)
 ボンクラ・サラリーマン、東奔西走の「東奔」篇。
 13日の金曜日というわりに、特別悪いこともなし。

11月14日(土)
 世間休日なれどボンクラゆえの仕事の停滞解消のため出社。
 怪しき気配あり午前中で帰る。

11月15日(日)
 終日書斎。
 「家庭の事情」で高校の化学の勉強3時間。
 わしゃ物理の方が好きなんだけどなあ。
 結局、原稿は書けないまま。頭がSF的空想の方向に切り替えきかず。
 月曜に備えて胃薬を飲む。


『マッドサイエンティストの手帳』メニューヘ [次回へ] [前回へ]

HomePage  自己紹介
作品リスト・クロニカル  書庫の片隅
SF同人誌「SOLITON」