HORI AKIRA JALINET

『マッドサイエンティストの手帳』21

●マッドサイエンティスト日記(1997年4月後半)

主な事件
 ・アイ・リメンバー・ニイガタ
 ・世間は連休入りであるが
・トニー谷、おそるべし

4月17日(木)
 始発のひかりで上京、都内で一件用事を済ませて、東京駅で人と待ち合わせ、上越新幹線で新潟へ向かう。
 上越新幹線で湯沢のトンネルを抜けるのは初めてである。したがって新潟市を訪れるのも初めてである。(日本海沿いでは糸魚川まで来たことあり)
 かんべむさしが幼年期を過ごし、神林長平が育った街である。笑いとネクラが混在する不思議な街を想像していたら、駅前のビルにサラ金の看板が密集しているのに仰天する。もっとも駅前にサラ金(消費者金融といわねばならぬらしい)看板は、全国の地方都市共通の現象らしい。大都市は都市銀行がでかい顔で駅前を占拠しているから、ちょっと歩かないとサラ金が目立たないだけということ。
 トンネルを抜けても金貸し国家だった。
 車で客先の工場往復、東京へトンボ帰り。

4月18日(金)
 神田の商人宿が進化した国際ビジネスホテルから、本日は宇都宮市へ向かう。
 宇都宮もはじめて。ナベサダ、立松和平、亀和田武と連想して、これまた悪いイメージの街ではないのだが、こちらはサラ金の看板もない裏口からタクシーで工業団地往復。平たくてなにもない土地だ。
 夕方、東京にもどり、ひさしぶりにアトソンに寄る。
 BBSは天保水滸伝みたいな時代で、近いうち、大規模なリニューアルがあるという。
4月23日(水)
 朝6時、なんとなく騒々しい雰囲気にテレビつけてみるとペルー大使館に特殊部隊が突入直後である。日本時間で5時23分55:23だから生々しい。日本人人質24人全員救出というばかりで、何人死んだのかの報道が遅いのがもどかしい。ゲリラ14人は全員死亡らしいが、「日本人全員無事」を繰り返すばかり。
 7時20分、家を出たところで、なぜか急激に興味薄れる。

4月27日(日)
 快晴である。会社の暦は休日であるが自転車で会社へ。
 天気がいいので、昼過ぎ、地下鉄で森ノ宮へ。
 大阪城公園野外ホールで、くもん主催の大阪城ジャズフェスティバル。
 昔懐かしい「大学対抗バンド合戦」みたいな企画だが、各バンドにゲスト加わる。北村英治、古谷充、奥田章二、中井幸一が出る。
 ラグタイムピアノの池宮正信がゲスト出演、うまいのには感嘆するが、洗練されすぎの印象。
 会場で北野勇作氏に会う。結婚して、先日引っ越し、なんとぼくと同区内である。行岡病院(救急病院)の近所というから、いつお世話になるかわからない。
 北村英治を聴いてから、また会社へ戻る。

4月29日(火)
 世間は大型連休入りらしく、ビジネス街は閑散として居心地がいい。
 「仕事」がはかどることよ……。
 夜、村松友視「トニー谷、ざんす」読む。この本の眼目はトニー谷の「品」を解明するところにあるのだが、ぼくには、女グセの悪さに関する記述が突出して面白かった。写真の趣味とか、「友人」が「待機」させているのを、ちょっと出ていってネチョリンコしてくるなんてのが凄いざんす。


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