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  平岡正明『哲学的落語家!』(筑摩書房)

 
 先日の新聞・書評欄で平岡正明さんが書評を書いていた。その肩書きが「落語評論家」となっている。
 落語へののめり込み、本格的な様相。
 で、この『哲学的落語家!』、桂枝雀を論じたものである。
 山口百恵が菩薩なら、これは別題「桂枝雀はアナーキストである」というのが主題。例によってのハイテンション講談で、「夢野久作」「エリック・ドルフィー」「桂枝雀」の形成する魔のトライアングルが落語界に革命を起こす様相が描かれている。
 (おれの知る限りでは、枝雀師匠はコルトレーンもドルフィーもたぶん聴いてられないが、坂田明を聴いたのは確か)
 おれは面白いと思うが、枝雀師匠が読んだら「わたし、そこまで難しいこと考えてません」と戸惑われる姿も想像できる。
 枝雀師匠のアナーキズムを摘出する手腕はたいしたものだが、(ある部分一心同体であった)小佐田さんはどう感じはったのであろうか。
 談志論ならともかく、上方落語評論としては異色の論考登場である。
 平岡さん、西長堀の中央図書館地下1階まで枝雀ビデオを見に来てはったのである。時々行く場所だけにびっくり。
 誰がどこにいるか、わからんなあ。

(2005.10.14)


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